遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

猛暑に読む涼しいお薦め本はいかがでしょうか

ギャチュンカン北壁

通りすがりの方が、私の「読書メーター」のある本の感想にいいねをつけていかれました。

それは、沢木耕太郎の「凍(とう)」というノンフィクション本で、登山家の山野井泰史と妙子夫婦がギャチュンカンの北壁を登頂した記録です。

ギャチュンカンは標高7952mで、8000m以上の14座に次ぐ世界で15番目の高さの山です。その北壁に山野井夫婦が無酸素で9日間もの間張り付いていた記録で、沢木は確かベースキャンプに居て山野井と交信しながら彼らを待っていたと記憶しているので、「見てきたようなウソ」ではない迫力があります。

吹雪に遭い雪崩に襲われる夫婦の挑戦を読むには、いまの季節以外にないと思われます。

学生諸君には、夏休みの読書感想文に是非お勧めしますし、生き急いでいる人たちにも読み物だけの体験でヒマラヤに登れる本書をお薦めいたします。

その他、涼を求めるなら北欧のミステリーなどはいかがでしょうか。

スティーグ・ラーソン「ミレニアム」シリーズ
ベストセラーはあまり興味がない私ですが、これは別。このシリーズの連作は実に面白かったので、未読の方にはぜひお勧めします。騙されたと思ってまず1冊、ぜひ読んでみてください。
スティーグ・ラーソンが急死したため「ミレニアム3」で終わってしまったシリーズですが、ダヴィド・ラーゲルクランツという作家が「ミレニアム4」以降を捜索しているようで、それらも愛読されているようです。

「ミレニアム1-ドラゴン・タトゥーの女- 」
「ミレニアム2-火と戯れる女-」
「ミレニアム3-眠れる女と狂卓の騎士-」

ユッシ・エーズラ・オールスン「特捜部Q」シリーズ
これも「ミレニアム」と同様に映画化されていますが、本で読むほうがはるかに面白いです。署のお荷物とされ冷遇されている主人公の特捜部Qを率いる警部が扱う事件が、捜査が中断されお蔵入りになっているものばかりなのですが、特捜部Qチームが悪事を働く上級国民を追い詰めていく過程で涼しい気分になれます。

「特捜部Q―檻の中の女―」 など


ヘニング・マンケル「刑事ヴァランダー」シリーズ
BBCのドラマでもおなじみの同シリーズです。

「殺人者の顔」 など

オーサ・ラーソンの女弁護士シリーズ
「オーロラの向こう側 」など

 

以上