毎年「M-1グランプリ」について書いていて、今年は優勝者に「アレッ?」となって記事を書くのを少しためらっていた。
ということで、独断と偏見で今年のM-1の感想を少しだけ書いて年を越そうと思う。
今67歳の私、最も遠い記憶でいうと、主に関西のお笑い番組を見ていて「やりくりアパート」「番頭はんと丁稚(でっち)どん」「とんま天狗」「てなもんや三度笠」などを楽しんでいた。
NHKの「お笑い三人組」も、海外制作の子ども向けのドタバタドラマ「ちびっこギャング」「三バカ大将」などもすごく好きだった。
また、いま連ドラ「おちょやん」の舞台となった松竹新喜劇や吉本新喜劇も幼いころからテレビで見ていた。
関西のみならず、東京発の末廣亭での寄席番組で落語や大喜利を楽しみ、コンビやトリオなどの東京の漫才師や芸人たちのお笑いが好きな子どもだった。あっというまに大スターになったコント55号やドリフターズは、彼らの駆け出しのころからずっと楽しんでいた。
落語やコントや漫談や漫才やコメディ劇など、何でも面白く楽しめた子どもだった。芸人たちを一度も遠ざけることなく、60年以上を生きてきた。
そんな私が面白がったM-1出場者の感想。
「おいでやす古賀」 妻と優勝予想をしていて、私はこのコンビを上げた。ネタはほとんど見たことがなかったが、小田の全身全霊のツッコミ芸がツボにはまったらめちゃくちゃ面白そうだと思っていた。1本目のネタはまさに予想が当たってとっても面白かった。2本目は古賀の歌が長すぎて、小田のツッコミが少し中途半端だったのが惜しかった。でも、優勝してもおかしくないコンビだった。
「見取り図」 彼らは3年前から面白かった。ネタもしゃべりも滑らか(噛んでもあまり目立たない)で、根っから面白さを持っている二人だから、将来性は十分にあると思った。長髪の方が、めちゃ面白くていいやつなのにこわもて顔なところがマイナス要素くらいか。
「ニューヨーク」 決勝に進む出来だと思っていたが、残念だった。去年よりずっと面白かったし、ネタの完成度もあった。もう1本見てみたかったが、彼らは2021年はもっと売れっ子になるような気がする。YouTubeに力入れすぎるのは、まだ早いしもったいないと思う。
「錦鯉」 スキンヘッドのボケの方がすこぶる面白い。ワッキーと似た感じなのだが、ずっと面白いのに売れていないのは所属事務所の違いか。キング・オブ・コントにも出られるかも。ツッコミがスキンヘッドの頭をひっぱたくのは、感心しないのでやめた方がいいと思う。
「オズワルド」は、前の組の高得点に心を奪われていたので、ほとんど新鮮味が感じられなくてごめんなさいだった。伊藤の方が、素の時にもっとさわやかにいいひとぶりっ子なれば売れる実力があると思う。
「ウエストランド」 あの井口の芸風というかあの口調が私は好きだ。だてに決勝戦に出てきていないと思う芸風だ。自虐ネタはお笑いの基本だから、その線で行って良しだと思う。コロナに罹ったそうで、そこまで自虐は望んでいないのだが。
最後に優勝した「マヂカルラブリー」。私は過去の彼らを覚えていなかったし、今年初めて認識したコンビだったが、正直言うと面白くなかった。芸風はともかく、粗雑で芸に対する真摯な心を感じなかった。彼らの最も素晴らしい点は、コンビ名を「マジカル」ではなく「マヂカル」としたところ。
ということで、今年涙を飲んだ芸人たち、来年も頑張るんだぞ。