ウチら棺桶まで永遠のランウェイ kemio (著) KADOKAWA
朝日新聞の土曜日の書評欄で知った「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ」。
例によって読みたいと思った本の書評はきちんと読まないのだが、本書を知ったばかりのころは「読もう」と思っていた。しかし、時間が経ってなぜかその気が薄れていったにもかかわらず、また読みたいと思いなおして、このたび読了。
読んでよかった一冊になった。
本書が手元に来てから、著者のkemioのYouTube動画を初めて見た。
ファッショナブルなお兄ちゃんが、愉しい生活動画を配信していた。彼の取り巻きも、スマートな男女が配置されていて、高級ではないがおしゃれな宝石が陳列されている、って感じの動画だった。
著者は、外国人の血が入ってる若者(なかなかのイケメン)で、私の見た最近の動画は、ニューヨークに引っ越したばかりの時のものだった。
この本を読んで、のちに分かったことだが、彼は現在24歳で、祖父と祖母に育てられ、猛勉強してなんとか都立高校に入学して、高校を卒業して独立し、紆余曲折を経て3年ほど前にアメリカに渡った。そこから英語を喋れる人間になったようだ。
顔の雰囲気と英語力の釣り合いがとれてきたいまだが、それよりも、kemioの日本語能力の方に驚いた。彼の動画での立て板に水のようなしゃべり言葉より、本書の口語体のような言葉がよりあざやかである。そして、その言葉の裏付けとなる彼の考え方や生き方が鮮明。
脳をコントロールして、好きに生きる方策を、全編で伝えてくれている。
彼は、SNSで成功した人間で、幼少のころからあこがれていた芸能人・エンターテイナーの道へは苦労と苦悩の連続だったようで、結局SNS経由で好きな道にアプローチできた人間。
しかし、24歳の成功者目線で語るのではなくて、悩んでいる中学生にひざまづいて手を差し伸べてくれるような温かさやしなやかさがある。40、50代の悩める男女にも贈れる言葉が満載なのに驚かされる。比喩が豊かで、新しい表現スタイルが秀逸だと思う。
kemioはレディ・ガガに心酔しているようで、生き方も彼女に見習おうとしていて素晴らしい。渡米後に意識しだしたようだが、政治や地球環境や人権などに問題意識を持とうとしていて感心する。
私の孫3人に本書をすすめるにはまだ早すぎるのだが、孫たちが小学生になるまでには、孫を育てる立場の娘たち(今アラウンド30)にはぜひ読んでほしいと思う一冊である。
kemioのSNS信者は300万人も存在するのだから、本書はもっともっと売れてもいいだろうにと思っていたのだが、そうか、彼の信者はこの本を読まなくても人生を謳歌できる若者たちなのだ!と合点がいったのだった。
いささか手遅れながら、私の読後に、還暦を迎えた妻がいまこの本を読みながらランウェイを(ひょっとしてワンウェイ?)歩いている。
「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ」目次
1章―私の、私だけの人生
引かれたレールを走るだけなんてガラケーちっくじゃね?
2章―人間関係わんこそば
私を泣かせる相手に恨みはないの、強くしてくれてありがとうなの
3章―恋なんて、、
一生 #出口の見えないカンバセーション だわ
4章―ウチら棺桶まで永遠のランウェイ
知恵とか勇気とかなんでもいいから、自分でカスタムした武器で世界を壊してこ
著者について
●kemio:YouTubeをはじめ、Instagram、Twitterなどを含めフォロワーが約300万人。女子中高生はもちろん、近年では大人からの支持も厚く、SNS社会で最も注目されるクリエイターとして大人気に。流行語を生み出し続ける世界規模のスターとして、モデルや発信者、歌手として多岐に活躍している。
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