遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

イーグル・アイ/D・J・カルーソー

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イーグル・アイ Eagle Eye
日本公開 2008年10月18日  上映時間 118分

「イーグル・アイ」(2008年制作)をケーブルテレビで録画鑑賞。本作は、ヒット映画「ディスタービア」(私は未見)に続く、製作総指揮スピルバーグ、監督D・J・カルーソー、主演シャイア・ラブーフの3人組の第二弾映画。

「製作総指揮・スティーヴン・スピルバーグ」というクレジットがなければ、おそらく素通りしていた映画だと思う。彼の手にかかった料理なら、まあおいしく食べられるだろうくらいの距離間で食いついた。

映画「2001年宇宙の旅「スピード」エデンの東」の要素が込められた愉しい映画だった。

コンピュータに人間がコントロールされるところが「2001年宇宙の旅」、止まったら死ぬみたいなところが「スピード」、父親に愛される兄と反抗的な弟という構図が「エデンの東」とさも似たりと無理やりこじつけることができる。

はじめは、主人公たちに降りかかる不条理・厄介ごとを見て「何で?こうなるの?」の連続だったのだが、しばらく我慢していれば「なるほどなるほど」と納得できてくる。主人公の男女は、まったく赤の他人の普通の市民なのだが、いつの間にか同じミッションに携わっていく。その過程も面白いし、映画ならではの作り込んだエンターテイメント性に、「映画以外では考えられない愉しい場面!」と何度もうれしくなる。

以前にも書いたが、日本での洋画の衰退は、映画を楽しめるための観客の基本能力が衰退しているからかもしれない。ディズニーのアニメ映画くらいのくっきりとした輪郭の筋立てくらいでなければ、観客はとにかく耐えられなくて面倒くさいのではないだろうか。でも観てみないとその面倒くささもわからないので、きっと洋画は面倒くさい映画だろうと敬遠するようになっている気がする。(翻訳小説もそれと似ているような気がする。)

この「イーグル・アイ」もそんな要素がなくもないが、あなたの仕事や勉強ほど難解ではない、スピルバーグを信じるべきだ、という感じ。しかも、最後まで観客を裏切らない感じの良さも持ち合わせていて、もしどこかで出会われたらご覧になられたい。