遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ニューヨークのミツバチ

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数年前、ニューヨークのマンハッタンで養蜂が行われていることをTVで知った。ビルの屋上にミツバチと巣箱を設置して、はちみつを採取するのである。

ニューヨークには、セントラルパークという広大な自然があるので、密を持つ花木がすぐ近くに大量に在る。そして、マンハッタンには無数のビルがあり、同じ数だけの屋上があり、高層ビルの屋上でなければ、そこに養蜂箱を設置してはちみつを採取可能である。というわけで、ニューヨークでは容易に養蜂ができるのである。

画像は、NYのアストリアホテルの屋上の白い養蜂箱で、このなかに36万匹のミツバチが暮らしているという。屋上で採れたはちみつは、瓶詰にされてホテルの1階で売られている。何とも効率的でロマンチックな話である。

先だって、市の菜園で野菜を作っている私たち向けに講習があったのだが、その中で、ミツバチが農薬に敏感で大量死していることを知る。ニュースなどでミツバチが大量死していることは知っていたが、どうやら新型の殺虫農薬のせいらしいのだ。

ミツバチは、はちみつの提供者であるほか、ポリネーター(花粉媒介者)として果実や野菜を受粉する媒介者の役目も担っている。ミツバチは、ポリネーション(受粉)の副産物としてはちみつを作っている。

なので、農薬によるミツバチの大量死は、農作物に多大な影響があり由々しき問題である。稲作に使われる農薬などがミツバチを殺してしまう結果になっているのだが、蜂の受粉で結実するイチゴ、スイカ、メロン、ウメ、リンゴ、ナシ、サクランボ、ブルーベリー、キュウリ、カボチャなどなどなど…の作物群は、米以上に重要な農産物なのだから、由々しき問題なのである。ミツバチなどのポリネーターがいなくなると、とにかく大変なことになる。

自然界のミツバチの絶対数が減ってきた結果、大規模なハウス栽培を行っている農家は、ミツバチを借りてきてハウスに放って受粉を促すという。いまや養蜂家は、はちみつを採取して収入を得、さらに、ミツバチを農家に貸して収入を得ているという。

大都会大阪は、公園面積が少なくてあまり適していないのだが、東京や札幌や仙台などのビルの屋上ではきっと良質のはちみつが採れると思う。また、農家に貸し出す蜂も育てられるだろう。大都会にはミツバチの天敵ともいえる農薬も少ないだろうから。

ミツバチの滅亡は、人類の滅亡にもつながりかねない大問題なのである。