遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

悪い奴ほどよく眠る/黒澤明

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「悪い奴ほどよく眠る」

監督:黒澤明
監督助手:森谷司郎
脚本:小国英雄久板栄二郎黒澤明菊島隆三橋本忍
音楽:佐藤勝




5人の共同脚本で製作された黒澤明の名作「悪い奴ほどよく眠る」、

「ゴッド・ファーザー」の冒頭と同じく、

三船敏郎香川京子の結婚式のシーンで物語は始まる。

この結婚披露宴に列席した大物たちが、登場人物として紹介されるという按配である。

もちろん、コッポラの方が尊敬する黒澤の手法を取り入れたのである。

出演者の面々、誰が悪い奴かお分かりだろうか、

ご存じない方は映画を観ていただくことにする。

確実なことは、笠智衆以外の男優は、悪い奴を演じていてもおかしくないということである。



本日、児玉清さんの訃報に接して驚いた、

そういえば最近見かけていなかったので、闘病中だったのだろう。

この「悪い奴ほどよく眠る」で、新聞記者の役を演じていた児玉さんが印象的であった。

セリフがなくて(あったかもしれない)、でもしっかり画面に登場していて、

若くて背が高くて美男子で、妙に目立っていた新聞記者だった。


七人の侍」で、仲代達也や宇津井健加藤武が、

町行く侍たちのひとりとして登場する場面でも、彼らは妙に目立っていた。


黒澤は、セリフがなくても存在感のある役を振った俳優たちには、

何度でもダメ出しをしたという。

その結果が、微妙に目立った若い俳優として登場しているのであろう。


児玉清といえば「悪い奴ほどよく眠る」を連想してしまう私、

名前はクレジットされていなくても私はよく憶えていますよ、

安らかにお眠りいただきたい。