「悪い奴ほどよく眠る」
5人の共同脚本で製作された黒澤明の名作「悪い奴ほどよく眠る」、
「ゴッド・ファーザー」の冒頭と同じく、
この結婚披露宴に列席した大物たちが、登場人物として紹介されるという按配である。
もちろん、コッポラの方が尊敬する黒澤の手法を取り入れたのである。
出演者の面々、誰が悪い奴かお分かりだろうか、
ご存じない方は映画を観ていただくことにする。
確実なことは、笠智衆以外の男優は、悪い奴を演じていてもおかしくないということである。
本日、児玉清さんの訃報に接して驚いた、
そういえば最近見かけていなかったので、闘病中だったのだろう。
この「悪い奴ほどよく眠る」で、新聞記者の役を演じていた児玉さんが印象的であった。
セリフがなくて(あったかもしれない)、でもしっかり画面に登場していて、
若くて背が高くて美男子で、妙に目立っていた新聞記者だった。
町行く侍たちのひとりとして登場する場面でも、彼らは妙に目立っていた。
黒澤は、セリフがなくても存在感のある役を振った俳優たちには、
何度でもダメ出しをしたという。
その結果が、微妙に目立った若い俳優として登場しているのであろう。
児玉清といえば「悪い奴ほどよく眠る」を連想してしまう私、
名前はクレジットされていなくても私はよく憶えていますよ、
安らかにお眠りいただきたい。