遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り/ガーディナー

イメージ 1

モンテヴェルディ:「聖母マリアの夕べの祈り」


このモンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」は、

1610年にヴェネツィアで出版され、

数えて今年は出版からちょうど400周年を迎えていた。


このアルバムは、協会のライブ録音で、

宗教音楽としての臨場感は、申し分のないものとなっている。

モンティヴェルディの作品自体が素晴らしく、

ガーディナーの指揮による演奏と歌が素晴らしく、

地上でもこのような音楽が存在するものなのかと、ありがたくなってくる。

モンティヴェルディ自身は、400年後に自分の楽曲が残っていて、

演奏家がわざを競って自分の作品を演奏し続けているなどとは思いもしないで、

神に近づける作品を!などという思い入れで作った1曲であろう。


この120年後に生まれたバッハにも、バロック音楽にも、

そして、オペラにも多大な影響を与えたのが、この作品だとも言われている。


夕べの祈りは、晩課とも呼ばれ、日没後の協会での典礼のことである。

静かな大晦日にふさわしいのかよくは分からないが、

私はクリスマスの頃から毎日聴いている。

研ぎ澄まされた統一感のある大合唱を聴いていると、

世俗な私のもとに神が降りてきて、

過ぎし年の傷や疲れが癒えて、

新しい年への希望が湧いてくるのである。

ありがたき1枚である。


■アルバム・データ
アン・モノイオス、マリネッラ・ペンニッチ(ソプラノ)
マイケル・チャンス(カウンター・テナー)
マーク・タッカー、ナイジェル・ロブソン、サンドロ・ナグリア(テノール
ブリン・ターフェル、アラステア・マイルズ(バス)
モンテヴェルディ合唱団
ロンドン・オラトリー少年合唱団
ヒズ・マジェスティーズ・サックバッツ&コルネッツ
イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー

デジタル録音:1989年5月9-13日、ヴェネツィア