大統領就任後100日以内に何を行ったかが注目されるなか、
遠いゴールだと言いつつ、核廃絶に向けたリーダー・シップを取ることが、
地球上で唯一核を使用した歴史を持つ、アメリカ合衆国の責務だと意思表明した。
米国が核を使用した唯一の国と言ったことだけでも、インパクトと価値のある演説だった。
かくなるうえは、いつか、アメリカの大統領として、広島と長崎の8月の平和式典に来てほしいものだ。
素晴らしいプラハの春2009であった。
(オバマ プラハ演説 要約) オバマ大統領は、広島・長崎への原爆投下を指す「核を使用した唯一の保有国としての道義的責任」にふれ、「核のない、平和で安全な世界を米国が追求していくことを明確に宣言する」と述べた。 その目標に向けた道筋として、核軍縮や核不拡散の国際的な制度強化を主導する考えを打ち出した。具体的には、(1)核軍縮(2)核不拡散体制の強化(3)核テロ防止を柱として挙げた。 (1)核軍縮 ロシアとの間で第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約を12月までに結ぶ目標を確認した。議会の一部に反対が根強いCTBTの批准実現には「早急かつ意欲的に取り組む」と表明。核兵器の原料となる兵器級核物質の生産を停止する新条約(カットオフ条約)交渉の妥結を目指す考えを示した。 (2)核不拡散 国際的な核査察体制を強化するのに加えて、北朝鮮やイランのようなルール違反の国への対応として、国連安保理に自動的に付託する措置など、罰則強化に取り組む考えを示した。一方、原子力の民生利用促進のため、核燃料供給を肩代わりする国際的枠組みも提案した。 (3)核テロ防止 4年以内に世界中の核物質防護体制を確立することをめざすと表明。核の闇市場の撲滅に向けて、核管理に関する首脳級の国際会議を1年以内に主催する方針を明らかにした。 全体として、核廃絶は「すぐに到達できる目標ではない」と、核抑止力を当面維持する方針も示した。だが、「世界は変わらないという人の声に耳を貸さず、『イエス・ウィ・キャン(我々はできる)』と言おう」と、時間をかけてこぎつける考えを示した。