遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

オーパ!/開高健

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 手許にある開高健オーパ!」(集英社)の奥付には、

定価2800円 1981年6月20日 16刷 とある。

私が釣りを始めた当時に、大枚を叩いて買い求めた本である。


 冒頭の

  一時間、幸わせになりたかったら酒を飲みなさい。

  三日間、幸わせになりたかったら結婚しなさい。

  八日間、幸わせになりたかったら豚を殺して食べなさい。

  永遠に、幸わせになりたかったら釣りを覚えなさい。

                          -中国古諺-

を読むだけで幸わせになる。
 

 釣紀行とも旅行記とも写真集とも言えるが、私には哲学書だったのかもしれない。

「なにもそんなに、あくせく生き急がんでもエエのと違う?」という関西なまりの甲高い声が、

アマゾンをさかのぼる船にハンモックを吊るし、シャーロックホームズを読む開高から

聞こえてきそうな気がする。
 

  私の釣魚大全 文春文庫

  オーパオーパ!!〈モンゴル・中国篇・スリランカ篇〉 集英社文庫

  オーパオーパ!!〈アラスカ篇 カナダ・カリフォルニア篇〉 集英社文庫

  フィッシュ・オン 新潮文庫

  もっと遠く!―南北両アメリカ大陸縦断記・北米篇 (上・下) 文春文庫

  もっと広く!―南北両アメリカ大陸縦断記・南米篇 (上・下) 文春文庫


 

私は開高の小説は読んだことがないが、

珠玉の名文と高橋昇・水村孝・秋元啓一のフォトが詰め込まれたこれらは絶品である。

大枚を叩かずとも今は文庫で読める。


釣をする予定のない人に、普通の読み物としてお奨めする。