遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

なぜ勉強するのか?/鈴木光司

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 なぜ勉強するのか?  鈴木 光司   (ソフトバンク新書)



何かを丸暗記することは勉強ではない、

受験には限定的に役立っても、

卒業後のお仕事には役立たない。


鈴木光司「リング」の作者であるが、

就職せずに小説家を目指し、小学校からの同級生と結婚し、

妻が固定収入を稼ぎ、彼は子育てをしていた。

ベストセラーを世に出してからも主夫を続けていたし、

家庭で二人の子供たちの勉強の面倒を見、

塾教師として、人を教えてもいた。



そんなキャリアをもつ鈴木は言う、

勉強の積み重ねによる「理解力・想像力・表現力」の訓練は、

生きる力に通じる。

何のために勉強するのかと訊かれれば、理解力・想像力・表現力を向上させて、

リテラシー能力(読み書きの能力)をつけるためだと答えることができる。



理解力とは、読んだり情報を集める(インプットする)力、

想像力とは、想像したり検証したり分析したりする力、

そして、表現力とは、アウトプットしたり創造する力のことだと私は捉えた。


若ものたちには、「理解力・想像力・表現力」という3つの力を身に付けて、

世界の仕組みを知り、人類の未来をよりよいものにして欲しいと鈴木は願う。



ヒトは、この3つの力を持つ唯一無二の動物である、

3つの力に必要欠くべからざる原語を生み出したのだから。

しかし、この3つの力を持てるヒトはさほど多くない、

かつては一部の特権階級だけのものだったかもしれない。


階級的に「一部」でなくなったのは、

我が国でいえば戦後しばらく経ってからではないだろうか、

私たちは良い時代に生まれたと感謝しなくてはならない。



うちの娘どもにこの本もぜひ読んでもらいたいと思う。

子を持つ親にも、人を教える立場の人にも、ぜひ読んでもらいたいとも思う。


ただし、読後は鈴木流のままではなく、

自分流に形を変えたもので実践してほしい、

ぜひとも、この本の言わんとする事をよく「理解」し、

「想像力」を働かせて、わが子や生徒たちに「表現」して欲しい。