遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

よのなかのルール/藤原和博, 宮台 真司

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 人生の教科書  よのなかのルール    (ちくま文庫)

           藤原 和博 (著), 宮台 真司 (著)



司馬遼太郎姜尚中と、若者向けの著書をたて続けに紹介してきたが、

今日の一冊も若者に向けたわかりやすいメッセージが満載のそれである。

若者向けとはいえ、私は50歳を超えた頃に購入したが、

目からうろこが取れる思いで各章を読んだものである。



「よのなか」とは、白い目で私たちを見ている「世間」ではなく、

つまり、他人からは自分がどう見えているのかを意識しなくてはならない世間ではなく、

自分から見た視線。

「よのなか」は自分自身と世界とのインターフェイスの部分で、

それを通して世界を見てみようという視線のことだと、

藤原和博は言う。優れた教育者である。




我が国は、先進国ではダントツの自殺者を生み出している。

ことに男の方がその数ははるかに多い。

昨年では、女9,012人に対して、男は実に23,540人である。


宮台真司は、「女の子の方が生きる力が強い?」という章の中で、

「?」が付いているが、むろん女の子の方が強いのだが、

以下のように書いている。


 こうして比較してみると、成熟社会を生きるために男の子が学ぶべき課題がはっきりして

きます。遠い未来のために現在を、不透明な社会のために自分を、犠牲にするのはヤメて、

「今ここ」を楽しく充実して生きるべきこと。「今ここ」で世界と自分の折り合いをつけるた

めに- 世界とシンクロするために -いろいろと試行錯誤するべきこと。そういう努力を

積み重ねることで、男の子は、ようやく女の子に追いつくことができます。




宮台は、他の自らの著書のなかで、

繰り返し「意味のない世界を、まったり生きろ」と言う。

最終章の「意味なき世界をどう生きるか?」だけでも、

若者を持つ親、若者の前に立つ先生に読んでいただきたい。




目次

なぜ人を殺してはいけないのか
第1部 大人と子どものルール(大人、子ども、その境目はどこに?―少年をとりまく犯罪とルールの関係
あなた自身と犯罪の危ない関係)
第2部 お金と仕事のルール(大人はなぜ「接待」をするのか
1個のハンバーガーから世界が見える
自分の家から日本が見える
仕事とキャリアを考えると人生が見えてくる)
第3部 男と女と自殺のルール(性転換をめぐる、男と女としあわせのルール
結婚と離婚と子どもをめぐるルール
自殺から見える社会―ある監察医のつぶやき)
意味なき世界をどう生きるか?