遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

いじわるばあさん/長谷川町子

イメージ 1

いじわるばあさん  長谷川町子   (朝日文庫)


青島幸男岸田今日子の訃報に接して驚いている。

神のもとに召されるには、まだ少し早かった、合掌。



岸田はひと月前に亡くなった元夫の仲谷昇と天国で再会なのか。

仲谷は私の父と同年、岸田は私の母の一年年長、

昔から「お姉さん」って感じだったのだが、

最近はさすがにお歳をめされたなぁと思っていた。


砂の女」の彼女は妖しく官能的で、

「女優」とはああいうことなんだと誰もが納得するのである。

彼女の代表作である。



青島はTV創成期のまさに売れっ子作家、

私の物心ついた頃から、「大人の漫画」や「シャボン玉ホリデー

それにクレイジーキャッツの歌う数々のヒット作品で大活躍であった。

その後、颯爽と政治舞台に登場し、国会議事堂でのパフォーマンスも見事であった。

殊に今の首相の大叔父佐藤栄作を「財界の男めかけ」呼ばわりした頃は、

彼の政治家としての充実度はピークだったと、後の彼を見るにつけそう確信できるのである。



その青島が演じたキャラクターが、「意地悪ばあさん」。

原作「いじわるばあさん」は、泣く子も黙る長谷川町子のもうひとつの代表作。


私は「サザエさん」よりこちらが好きであった。


どこで何時読んだのか記憶にないが、

おそらく全巻の大部分を読んでいると思う。


「権威に毒づく」ばあさんの精神が子供心にも痛快であった。

お澄まししている人をからかう精神が大好きであった。

あれって、関西人の気風なんだがなぁ。


嫌がらせには違いないのだが、

ユーモア味が入ると、うーんとおしゃれになるし、

相手がそれと気付かないうちに、

孫と逃げおおせてしまうところが、許せるところである。


楽しい婆さんである。