遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

アメイジング・バド・パウエルVOL.1

イメージ 1




声質がよく声量が豊かで音程も確かなほうを、巧い歌手と言うなら、

フランク・シナトラ(1915-1998)よりトニー・ベネット(1926-)のほうが巧い歌手であろう。

シナトラ自身も「金を払って聴く価値のある歌手は、トニー・ベネットさ」

と言っている。

ペリー・コモ(1912-2001)だったかもしれない、あるいは二人を称えていったのかもしれない。


しかし、私はシナトラのほうが断然好きである、歌も上手いと思う。

トニー・ベネットのほうが真面目で好感が持てるし、節制している気がするのだが、

シナトラの歌の持つ奥行きが、素晴らしいと思う。



指が巧く動くピアニストなら、アート・テイタム(1909-1956)やアール・ハインズ(1905-1983)

であろうが、バド・パウエル(1924-1966)のピアノが圧倒的に私は好きである。

私が言うまでもなく、誰しもがそう思っているはず。



14曲目の「チュニジアの夜」を歌いながらというか唸りながら弾くバドと、

いちど接していただきたい。


13曲目の「オーバー・ザ・レインボー」のソロピアノをお聴きいただきたい。


3テイクも収められている「ウン・ポコ・ローコ」での、マックス・ローチ(1924-)との

つばぜり合いをご堪能あれ。

ローチのシンバルが祇園精舎の鐘に聞こえる。(シンバルじゃないのかな。)


ピアノ・トリオ演奏が中心をなすが、

ソニー・ロリンズも随所にファッツ・ナヴァロとともに登場する。


当時のソニー・ロリンズ(1930-)は、二十歳前後。

美しく初々しい天才少年のサウンドも、この歴史的名盤に永遠に刻まれている。


アメイジング・バドはVOL3まであるが、メンバーが異なる。

また、輸入盤(980円)と国内盤(1500円)の構成は異なる。


どれもこれもみな、お奨めである。

30年後の私の通夜は、まず、アメイジング・バドのVOL1~3を流してもらうことにしている。


■パーソネル
バド・パウエル(p)
ファッツ・ナヴァロ(tp)
ソニー・ロリンズ(ts)
トミー・ポッター(b)
ロイ・ヘインズ(ds)
カーリー・ラッセル(b)
マックス・ローチ(ds)
(1949年8月8日録音、1951年5月1日録音)

曲目リスト
1.Bouncing with Bud
2.Wail
3.Dance of the Infidels
4.52nd Street Theme
5.You Go To My Head
6.Ornithology
7.Bouncing with Bud
8.Bouncing with Bud
9.Wail
10.Dance of the Infidels
11.Ornithology
12.Un Poco Loco
13.Over The Rainbow
14.A Night In Tunisia
15.It Could Happen To You
16.Parisian Thoroughfare
17.Un Poco Loco
18.Un Poco Loco
19.A Night In Tunisa
20.It Could Happen To You