トリオ・ザ・パンチというコントグループのリーダー内藤陳。
若い方はご存じないか、少年だった私はこのグループのコントが好きであった。
内藤陳(日本冒険小説協会会長)が経営するバーの名が「深夜プラス1」。
もちろん、ギャビン・ライアルの小説に因んだ名である。
ミステリが好きだと言う男で、「深夜プラス1」を読んだことがないというのは、
ま、「もぐり」と思ってもいい。
ストーリーは単純明快。
導入部でケインが仕事を依頼されるのが、パリのカフェ「ドゥ・マゴ」。
パリ最古といわれるロマネスク様式のサン・ジェルマン・デ・プレ教会のまん前にある。
ここのフルーツ・タルトは、イチゴがたっぷりで、お奨めする。
冒険小説というかハードボイルドというか、渋い物語に相応しい導入部である。
ケインの相棒が、アルコール依存なのにプロのガンマンを生業とする、ハーヴェイ。
このハーヴェイのかっこよさが、男たちを魅了する。女もか。
そして、相棒はもうヒトリ、「懐の大きな」フランス車、シトロエンDSである。
車高を調節コントロールする仕組みが、油圧(ハイドロニューマチック)による、
優れたクルマである。 http://www.citroen.co.jp/timeline/02.html
主人公2人が、要人をシトロエンに乗せて、
フランスからリヒテンシュタインへ時間内に送り届ける。
あなたも、このシトロエンの同乗者になることをお奨めする。
キザとも言われかねないほど、忠実に仕事を完成させようとする主人公たちに、
感動されると思う。たぶん。
「命令」でライアンを連れ帰る指令を受けた、不条理の兵士たちが主人公であったが、
ケインとハーヴェイは、「命令」で動いたわけではなかった。
強いて言えば、「ロマン」と「ビジネス」と「アイデンティティ」が、
彼らを動かしたのであろうか。
どれも、きちんと生きていくうえで、大切なファクターである。