遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

森は海の恋人~牡蠣が食べたい

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よそさまのブログをつらつら覗いていたら、何度か実に美味しそうな牡蠣(カキ)と出会った。

今が旬である。

「R」のつく月は、牡蠣が美味しいのである。



ディズニーの「ふしぎの国のアリス」で、

セイウチ(原作は「鏡の国のアリス」で登場)に食べられた、

可哀そうな牡蠣の赤ちゃんたちのいた部屋のカレンダーは、

まさに赤い「R」で強調された、MARCHであった。


SeptembeR、 OctobeR、 NovembeR、DecembeR、JanuaRy、 FebRuary、MaRchが

食べ頃というわけである。


関西では、三重県の「的矢(まとや)湾」の牡蠣が、天下一品の美味さである。

私は2年前のFebRuaryに現地で食べて、そう思った。




「森は海の恋人」というタイトルから想像できる小論文を書きなさい。

てな小論文の問題が、昨年のセンター入試で出題されたとか。

これなら、私にも答えられる。



牡蠣の養殖は、当然に海で行われるのであるが、

ミルキーな牡蠣を養殖するには、海の植物性プランクトンの繁殖が不可欠である。

海をそのような豊穣なエリアにするには、単に海をキレイにしようとしてもダメなのである。


海に流れ込む「川の水」に栄養素がたっぷり必要なのである。


そして、ミネラルをたっぷり含んだ川の水は、

雨水が、バクテリアや栄養素たっぷりの

腐葉土にしみ込んだ後に、河川に排出されて作られるのである。


そのような「腐葉土」は、落葉樹の葉っぱが堆積して作られる。

しかし、針葉樹=常緑樹が多い日本の山林は、腐葉土が作られにくい構造になっている。


そこで、キレイな海を作りたいと思ったある漁師さん、

お山に広葉樹=落葉樹を沢山沢山植える運動を実らせて、

広葉樹の森作りに成功し、

川下の海で、とってもミルキーな牡蠣の養殖に成功したのだとさ。



この話は実話であり、宮城県気仙沼の牡蠣養殖業者が、

山の植林運動を成功させて、宮城県産の牡蠣を大きく美味しくしたという話である。

その漁師の畠山重篤という方が、その植林活動の話をまとめ著した本が、

「森は海の恋人」なのである。


薪(まき)を使わない生活が、1960年代には全国に拡がり、山林に人が入らなくなった。

薪に使われる広葉樹に取って代わって、

建築用材として戦後まもなく植えられた針葉樹が幅を利かすようになった。

しかし、その建築用材のヒノキや杉は、安い輸入材に押されて売れなくなり、

立ち木のままで放置されている状態なのである。

その立ち木の副産物がヒノキやスギの花粉なのである。


美味しい牡蠣を食べ、花粉に悩まされないために、

スギやヒノキをふんだんに使った家を、安く建てる方法はないものかと思う。


広葉樹が細った森では、生態系もおかしくなってくるし、

世界規模で「森」を観察してみると、地球温暖化の問題も見えてくる。



「森は地球の恋人」でもあるのである。


的矢産の牡蠣が食べたい、今日この頃である。