監督 : ニコラウス・ゲイハルター
昨日、昼休みにお茶を飲みながら若い部下と、「塩」の話をしていたばかりだった。
その若い部下は、塩分を控えめにすることを心得ていて、
昨日も、昼食時に定食屋さんで出してくれたよく出汁の利いた味噌汁を、
残してきたばかりだった。
ちょっと神経質すぎるので、塩分やミネラルが生物にとって如何に大切かという話、
ミネラル分の多い土壌にはそれを摂取するために、多くの動物が集まってくる、
というアマゾン川の話を聞かせてやった。
あの辺は岩塩がたくさん取れるのだろうなとか、
とにかく、食事はいろんなものを好き嫌いなく美味しくいただいていれば、
バランスが崩れることはないから安心しなさい、などということに話は落ち着いた。
その、岩塩の採掘現場の映像も出てくる。
そのほか、とにかく私たちの胃袋に入るものの映像のオンパレードである。
鶏、ひよこを選別してブロイーラーを育てて、体育館ほどの広さの養鶏場で大きく育つ。
電気ショックで殺されて、流れ作業で解体されていく。
豚、美味しく育つように、女性二人に虚勢手術を施された仔豚たち、
大きく育ってロボットで解体され、内蔵は腸詰になるのでひとつひとつ女性の手で区分けされる。
そして、それぞれ、鶏肉になって、牛肉になって、豚肉になって、コンベアーで流れていく。
解体されるのだから当然に血がたくさん流れ出すが、
牛や豚を食べたことで、私たちの新しい血になるのだから、ありがたいことである、
感謝と合掌。
野菜や果物の収穫。
パプリカ、きゅうり、トマト、リンゴ、オリーブ、ホワイトアスパラ、
レタス、小麦、ジャガイモ、ひまわりなど、
天地ががはぐくんだ、宝石のようにきらきらした食物の収穫、
これまた、太陽と水と大地に感謝、感謝。
ナレーションも音楽も一切なし、字幕もなし、
現場の音が少し聞こえてくるだけの、淡々と映像を流すだけのドキュメンタリー。
私たちの食べ物と、それを育てて私たちに届けてくれる人たちの映像である。
日本の自給率は、1965年には70%を超えていたが、今は40%である。
コンビニの分刻みの賞味期限問題を、例に挙げるまでもなく、
わが国の食料食べ残し問題は、目を覆いたくなるし、
農業問題は政治舞台に登場してるのだけど、実に影が薄い。
このドキュメンタリーを農水省の役人に見てもらいたい、
否、若者に観てもらいたい、にしておく。
(過去のわが拙文)