直木賞の受賞が決まった一穂ミチは大阪市出身・在住の46歳。3回目の候補での受賞でした。
《関西大学を卒業後、会社員として働きながら同人誌で作品を発表し、2007年「雪よ林檎の香のごとく」で小説家としてデビューし、男性どうしの恋愛を描くいわゆる「ボーイズラブ」をテーマとした作品を数多く発表しています。》(NHKより)
《関西大学を卒業後、会社員として働きながら同人誌で作品を発表し、2007年「雪よ林檎の香のごとく」で小説家としてデビューし、男性どうしの恋愛を描くいわゆる「ボーイズラブ」をテーマとした作品を数多く発表しています。》(NHKより)
私は彼女の作品を3冊読んでいまして、「スモールワールズ」「パラソルでパラシュート」「光のとこにいてね」の3冊すべてで楽しめました。
BL小説で磨いた腕で、どこにでもいるような女性たちの日常を叙情的に描いていて見事だと思います。大阪のお笑い文化の下地が時々見えてきたりして、それも個人的には嬉しくなる要素であります。
受賞作「ツンデミック」は、いま図書館本を順番待ち(15番目くらい)していますが、私の後ろにはすでに200人くらいの行列ができています。
一方、芥川賞は、朝比奈秋と 松永K三蔵のお二人が受賞し、共に初めての候補での受賞となりました。
彼の作品は、昨年の三島由紀夫賞を受賞した「植物少女」に感銘を受けました。その際の感想で、〈人の命を救うのは、極論を言うと「メス(医学)」と「ペン(文学)」だと私は思うのですが、著者はその両方を備え持つお方のようです(彼は内科医だそうですけど…)〉と書いたのですが、今後は主にペンによって世直しに貢献してくれるような気がします。
松永K三蔵は、西宮市在住の44歳です。
《茨城県生まれで幼いころに西宮市に移り住み、中学生のときから小説を書き始めました。
関西学院大学を卒業後、建築関係の会社に勤務するかたわら小説を書き3年前(2021年)「カメオ」で文芸誌の新人賞を受賞し、デビューしました。》(NHKより)
《茨城県生まれで幼いころに西宮市に移り住み、中学生のときから小説を書き始めました。
関西学院大学を卒業後、建築関係の会社に勤務するかたわら小説を書き3年前(2021年)「カメオ」で文芸誌の新人賞を受賞し、デビューしました。》(NHKより)
松永は初めて知った作家ですが、彼のモットー「オモロイ純文学」で世直ししていただきたいですから、直木賞作家のように多作で売れっ子作家になってほしいと思っています。彼の被っているサイクルキャップ、風の強い日のウォーキングのために私も採用しようと考えています。
ということで、関西在住の3人の受賞はとてもうれしい出来事でした。3人とも仕事をしながらの執筆活動のようですが、これからも人間賛歌を書いていただきたいと願っています。おめでとうございました。
第171回芥川賞(2024年上半期)
朝比奈秋 「サンショウウオの四十九日」
松永K三蔵 「バリ山行」
候補作 尾崎世界観「転の声」、坂崎かおる「海岸通り」、向坂くじら「いなくなくならなくならないで」
〇選考委員:小川洋子・奥泉光・川上弘美・川上美映子・島田雅彦・平野啓一郎・松浦寿輝・山田詠美・吉田修一
第171回直木賞(2024年上半期)
一穂ミチ 「ツミデミック」
候補作 青崎有吾「地雷グリコ」、麻布競馬場「令和元年の人生ゲーム」、岩井圭也「われは熊楠」、柚木麻子「あいにくあんたのためじゃない」
〇選考委員:浅田次郎、角田光代、京極夏彦、桐野夏生、高村薫、林真理子、三浦しをん、宮部みゆき