遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

直木賞受賞「蜜蜂と遠雷」/恩田陸

イメージ 1

第156回の芥川賞直木賞の受賞作が決まった。

芥川賞は、山下澄人(50才)の「しんせかい」(画像下段右)に決まった。

山下は、倉本聰が主宰する「富良野塾」の元塾生で、受賞作は富良野塾での生活をベースにした作品だという。表紙の「しんせかい」という文字は、倉本聰が書いた。
師弟愛が育んだ受賞作なんだろうか、4回目の候補での受賞だという。

一方、直木賞は6回目の候補で恩田陸がついに受賞した。もう彼女の受賞はないと思っていたので、候補になっただけで驚いていたのだが、52歳で登竜門をクリアした。

受賞作の「蜜蜂と遠雷」(画像上段真ん中)は、国内で開かれる国際的なピアノコンクールを舞台とした、若手芸術家たちを描いた小説だという。本の装丁も小説内容のような爽やかな風を感じる(未読だけれど)。

ショパンコンクールなどのピアノコンクールのドキュメンタリーは見逃さない身としては、また、遠い昔に大矢壮一ノンフィクション賞を受賞した中村紘子の「チャイコフスキー・コンクール」をむさぼり読んだ身としては、「蜜蜂と遠雷」は題材がとても私好みでめちゃ読みたくなる。

斉藤美奈子週刊朝日の書評コラムで、受賞前の本作を紹介していて、4人の主人公たちの音の差がリアルに感じられるのは文章力によるものだと書いている。ドラマにすれば「のだめカンタービレを凌駕するヒット作になるだろうとも書いている。

六番目の小夜子」でデビューし、本屋大賞を受賞した「夜のピクニック」でブレイクした恩田陸。「ピアノを聞くのが一番好き」だったという少女が、渾身の作品を仕上げたようである。おめでたい。

【関連わがブログ記事】
「ドミノ」