遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ブリトニー・スピアーズが13年ぶりに自由の身に/成人後後見人が解かれる

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Netflixで、アメリカの歌姫たち、ガガ、テイラー・スウィフトブリトニー・スピアーズなどのドキュメンタリーを視聴。

そのなかで、ブリトニーのドキュメンタリーはエンターテイメントとは趣を異にするもので、彼女の富と名声を利用して金儲けしようと近寄ってくる男たちがよく描けている。

そのタイトルは、「ブリトニー対スピアーズ -後見人裁判の行方-」で、”ブリトニー”と対峙するのが”スピアーズ”だとするタイトルで私は興味を持った。

現在39歳のブリトニーは子どもの頃からスーパースターで、私は興味のない歌手だったのだが、このドキュメンタリーのサブタイトル「後見人裁判の行方」の部分を見落としていたら、この作品を見ることはなかっただろうと思う。

ブリトニーに近寄ってくる男とは、彼女と結婚したほぼ無名のダンサーではなく、「成人後後見人」である彼女の実父ジェイミー・スピアーズと弁護士たちであって、この作品は、彼女の精神鑑定を巧みに実施し後見人として居座った父親のドキュメンタリーでもある。

ブリトニーに群がるパパラッチたちのすごさは、この作品で目にできるが、それが彼女のたった1枚の写真でも高く売れることを証明している現象だと思うのだが、「後見人」のうま味はそんなものと比べるまでもないほど大きなものであろうと容易に想像できる。

ブリトニーは精神鑑定の結果、自由な行動や移動が著しく制限されていて、当然に彼女が稼ぐギャラも所有する資産も後見人の手の内にあって、ブリトニーはスピアーズ家から人権侵害を受けているのではないかということを争う裁判として、「後見人裁判の行方」に興味がもたれることとなった。

実の父親であるにもかかわらず、だからこそなのだろうが、ジェイミーは「1984」のビッグ・ブラザーのごとくブリトニーを監視し制約をかけるのだが、なんとも残酷で醜悪な人間を見る思いだった。無垢の人間を傷めつける精神こそ鑑定が必要だと思うのだが、いまの日本を見るにつけ、こういう人間は古今東西を問わず消滅することはないことも再認識できる

ブリトニーの持つ財産から一旦遠ざけられた父親が悪だくみをして娘を無能に仕立て上げたことがクールにコンパクトにまとめられていて、興味あるドキュメンタリーなのであった。

このドキュメンタリーを見終わって2週間後ぐらいだったか、先日「ブリトニーが13年ぶりに自由の身に」というニュースをネットで目にしたのだった。

この裁判(審問結果)は人権問題の観点からも歓迎すべき判決だと思うが、来月で40歳になるブリトニーにとっては0歳の誕生日を迎えることになる審問結果でもあっただろう。
ファンでも何でもない人間からも、おめでとうを言いたいと思うきょうこの頃である。

 

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