遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「アウティング」について

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新シリーズ「今日のことば」、第1回目は「アウティング Outing」です。

英語で「暴露する」という意味を持つことから、本人の了解を得ず、公にしていない性的指向性自認を暴露することを表す言葉となった。2015年8月、一橋大学法科大学院の男子学生が同性愛者であることを同級生に暴露され、心身に不調を来してキャンパス内の建物から転落死した。16年3月、両親は望まないアウティングよって自殺に追い込まれたとして、暴露した同級生や大学に損害賠償を求める訴訟を起こし、アウティングを巡る訴訟として話題となった。(知恵蔵miniの解説より)

この知恵蔵にもある、一橋大生の自殺で「アウティング」という言葉が一般に認知されたように思います。

亡くなった学生Aは、友人の学生Bに「好きだ」と告白した。Bは「ごめんなさい」と断っただけでなく、同学に在籍しているLINE仲間に「Aはゲイだ」とアウティングしました。そのことで精神的に病んだAは、学内で飛び降り自殺したというのが事の顛末です。

また、最近では成宮寛貴がコカイン摂取疑惑と性的なことをアウティングされたという理由で芸能界を引退しました。暴露した友人の男が、自分が成宮の恋人と噂されていて、それを否定するために暴露記事に協力したとフライデーには書かれていました。はっきり成宮がゲイであるという記述はありませんが、成宮自身はアウティングされたと心を痛めたようです。

成宮の件は、薬物の事件を希薄にさせるために、本人がアウティングのことをことさらに強調しているようにも見えます。しかし、彼がゲイだったとしたら、その事実をそれとなく写真週刊誌の記事でばらされたことは相当なショックだったろうと思います。ばらした方の男は、恐らく友人を嵌(は)めて金で動いているのだろうから、成宮のファンならずとも気分の悪い話です。

30年以上前になりますが、私がまだ結婚前に痔を悪くして総合病院へ行ったときに受付の女性に「どうされました?」「痔で…」といった時に、すぐ近くの通院患者の女性がハッと私の顔を見たことを覚えています。ちょっと屈辱的で恥ずかしかったけれど、ゲイだということを人に知られるのはあの100倍くらいの屈辱感なのかもしれません。

まあ自分の置かれた地位や年齢や、時代の空気によっても屈辱感は違ってくるでしょうね。私は、最も信頼できる人には何でも話して聴いてもらいますが(もちろん妻ではありませんw)、私が有名人でそれが金になるとしたら誰も信頼できなくなるような気もします。有名人でなくてよかった。

タカラジェンヌ同性婚をした女性が、幼少期にほぼ毎日実父に性虐待を受けていたとテレビで話していたことはショックでしたけどね。父親は地方の名士だったようですが、議会や議事堂にはそんなオッサンがたくさんいそうな気もします。ともあれ、たとえ実父であっても、そういったたぐいのアウティングは今後どんどん実行されていくことを望みます。

暴力やいじめや虐待は黙っていてはいけません。どんどん恐れずにアウティングしましょう。