遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

リトル・ミス・サンシャイン/デイトン&ファリス

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出演者
日本公開 2006年12月23日
上映時間 100分


娘が原田マハの小説「キネマの神様」の中に出てきた映画だということでDVDを借りてきた。で、私も便乗鑑賞した。

単なる楽しいコメディでもあるが、なかなか深いメッセージも込められていて、私の大好きな一作となった。

製作費は800万ドルで作られたが、興行収入は1億ドルを超えたようだ。元気の出る楽しい映画だし、配給会社も広告宣伝費を使ったから、世界中で鑑賞されたのだと思う。

主な登場人物は、画像の6人。彼らは同居しているファミリーである。
左から登場人物を紹介していくと、何となく映画の雰囲気が描けるのではないかと思うので、向かって左から順に紹介する。

1 大学教授で、この一家の家長。人間は2種類に分類され、それは「勝ち組か負け組」のどちらかであるというくだらない講座を持ち続けている。頭堅い!
2 家長の妻の弟で、自称作家プルースト研究の第一人者。彼はゲイで、恋人との別れから自殺未遂をし、姉の家で保護観察中の身。
3 この一家の長男で、パイロットを目指してただ黙々と目標に向かって努力を続けている高校生。「黙々」にもほどがある。
4 家長の妻。パイロットを目指す長男と、少女ミスコン「ミス・リトル・サンシャイン」で優勝を目指す娘の母親。ミスコンへの情熱が彼女のアイデンティティか。
5 家長と同居する家長の父親。エロ爺さんで、ドラッグの常習者で、筋金入りのワル親父。元ヒッピーかもしれない。アラン・アーキン爺がオスカー助演賞獲得!
6 一家の最年少で、チャーミングなお嬢ちゃん。念願のミスコン出場権を獲得し、「ミス・リトル・サンシャイン」大会に出場することになった!

この6人一家が、「ミス・リトル・サンシャイン」大会に向けて、黄色いワーゲンバスに乗ってカリフォルニアへ旅をする。道中のドタバタがいろいろ面白い。映画ならではのドタバタで、実際にこんな目に遭ったらどうしようなどと思ったら、愉しめない。

少女ミスコンに出場した一家のお嬢ちゃんの、コンテスト会場ステージでのダンスの振り付けは、ドラッグまみれのエロ爺ちゃんの手になるもの。前後の脈絡から「そういう展開」になるとすぐに想像できたので、とても痛快だった。6人一家、やってくれますアハハ的展開に拍手。

「勝組」や「権威」なんてクソくらえ、「負け犬で上等!」といったテーマがちりばめられていて、まじめなものを笑いものにして痛快極まりない。仕事のノルマが未達、出世街道へ乗り遅れている、あこがれている夢が立ち消えそう、最愛の人が遠ざかっていく、みたいな症状にお困りの方は元気が出ることをお約束する。

この作品の不真面目さに憤ったりテーマの意味が解らなければ、あなたは権威にまみれている証拠かもしれないので気を付けた方が良い。人生が楽しくなくなる。(と決めつけて書く私も、権威的だ!)