「111 Years of Deutsche Grammophon」の、
黄色い方のボックスに入っている黄色い表紙のブックレットを持って、
電車待ちの列に並んでいる若い女性を発見。
そのブックレット、満員電車の中で読んでもCDケースと同じサイズなので邪魔にならない。
買ったばかりのボックスの、56枚のCDの聴き方を検討するつもりだったのだろうか。
なかなか楽しい検討だなあと、微笑ましい想いを抱いた。
そしてその日の大地震。
私は赤い方のボックスを2009年秋に、
また、この黄色いボックス、2010年の秋に購入。
いまは専ら黄色いボックスを聴いていて、いつもランダムに抜き出して聴くことにしている。
震災後、最初に黄色いボックスをまさぐって私の手に引っかかってきたのが、
なんとブラームスの「ドイツ レクイエム」であった。
何ともこの時期のこの偶然に驚いたしだいである。
震災からちょうど1ヵ月の4月11日に、全国各所で黙祷がささげられた。
4月12日の朝日新聞の一面に掲載された、
船が乗り上げた瓦礫の前の、全員が無事だったある6人家族の黙祷の写真。
また、母親と祖母を亡くし、祖父が行方不明という女子高生が、
自宅があった瓦礫の前でトランペットを吹奏したあと泣いている写真に、
1964年に録音された澄みきった名演奏「ドイツ レクイエム」。
謹んで東日本大震災の犠牲者の鎮魂に捧げたい、安らかに眠っていただきたい。