遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ブラームス:ドイツ・レクイエム/カラヤン

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3月11日、震災の朝の駅のホーム、

「111 Years of Deutsche Grammophon」の、

黄色い方のボックスに入っている黄色い表紙のブックレットを持って、

電車待ちの列に並んでいる若い女性を発見。

そのブックレット、満員電車の中で読んでもCDケースと同じサイズなので邪魔にならない。

買ったばかりのボックスの、56枚のCDの聴き方を検討するつもりだったのだろうか。

なかなか楽しい検討だなあと、微笑ましい想いを抱いた。

そしてその日の大地震


私は赤い方のボックスを2009年秋に、

また、この黄色いボックス、2010年の秋に購入。

いまは専ら黄色いボックスを聴いていて、いつもランダムに抜き出して聴くことにしている。

震災後、最初に黄色いボックスをまさぐって私の手に引っかかってきたのが、

なんとブラームスの「ドイツ レクイエム」であった。

何ともこの時期のこの偶然に驚いたしだいである。


震災からちょうど1ヵ月の4月11日に、全国各所で黙祷がささげられた。

4月12日の朝日新聞の一面に掲載された、

船が乗り上げた瓦礫の前の、全員が無事だったある6人家族の黙祷の写真。

一家が無事だったことと、この無残な背景の対比に胸が詰まった。
http://www.asahi.com/photonews/gallery/110412-quake/miyagi07.html

また、母親と祖母を亡くし、祖父が行方不明という女子高生が、

自宅があった瓦礫の前でトランペットを吹奏したあと泣いている写真に、

泣かされた、何度見ても涙が出てくる。
http://www.asahi.com/photonews/gallery/110412-quake/iwate04.html



カラヤンの指揮、ウィーン楽友協会合唱団とベルリンフィルの演奏で、

1964年に録音された澄みきった名演奏「ドイツ レクイエム」。

謹んで東日本大震災の犠牲者の鎮魂に捧げたい、安らかに眠っていただきたい。



ブラームス:ドイツ・レクイエム

指揮ヘルベルト・フォンカラヤン
独唱グンドゥラ・ヤノヴィッツ、エーベルハルト・ヴェヒター
合唱ウィーン楽友協会合唱団
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団