遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ベストセラー「1Q84」とクラシック

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村上春樹の最新長編小説「1Q84」が売れに売れまくっているとかで、

発売後2週間足らずでミリオンセラーに達したという。

私はまだ読む予定にないのだが、活字離れといわれて久しい現代の若者たちが、

村上春樹詣でを始めたようである、実にいいことである。


ところで、「1Q84」の主人公が聴くチェコの作曲家ヤナーチェク

シンフォニエッタ」のCDも異常な人気だという。

ジョージ・セル指揮のクリーブランド管弦楽団の演奏を収録したCDで、

このアルバムはCD化した90年以降、20年間で6000枚を出荷したが、

1Q84」発売後のわずか1週間で、同数の注文を受けたという。



ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」という曲、私はまったく知らない。

20年間で6000枚しか売れてないのだから、認知度は低いだろう。


1Q84」を読んだ人たちは、どんなんかなーと興味深々で

CDを購入するのだろう、実にいいことである。


主人公のお気に入りは、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」でなくても良かったろうに、

村上春樹は、オシャレで静かで不思議な世界をつくりあげるに絶好の、

よく知られていない曲を選択したのだろうか。

小説も楽曲もまったく知らないので、単なる私の憶測だけれども、そういう気がした。


なにはともあれ、「のだめ」でクラシックファンが増えたのも記憶に新しいし、

ベストセラー小説で、音楽が世に広まるのはとてもいいことだと思う。



画像は、私の所有するミニスコア。

左の音楽之友社ブラームス(550円)とチャイコフスキー(600円)は、

1982年頃に購入しているが、初版の発行は1957年と1956年と奥付にある。

右の日本楽譜出版社のベートーベン(700円)ベルリオーズ(700円)ドヴォルザーク(550円)は、

1970年代の終わり頃に買ったと思われる。


レコードやテープを聴きながら、これらのミニスコアを追いかけるのに随分苦労したが、

20代の私は、譜面から名曲にアプローチして楽しんでいた時期もあった。


これらは、これから100年後でも200年後でも、

地球のどこででも通用する5冊であることが容易に想像できる。

先人達の素晴らしい遺産なのである。


私のクラシック入門のおすすめの1曲は、

ベートーベン交響曲5番「運命」。 http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/19193184.html

第一楽章はあまりにも有名なのだが、むしろそれ以外の楽章の素晴らしさが際立つ。

バランスよくてスリリングでドラマチックなところが、嬉しくて楽しい作品である。