遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

真実の行方/グレゴリー・ホブリット

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真実の行方
監督: グレゴリー・ホブリット
出演: リチャード・ギア, エドワード・ノートン


親や祖父母や兄弟や実子の命を奪う事件が、

後を絶たない。

今週起こった、福岡の公園での事件に胸を痛めている。

被害者にも、加害者にも同情してしまう、

いい弁護士が付いてくれればいいのだが・・・。


さて、1996年のアメリカ映画「真実の行方」。

主人公はリチャード・ギア演じる弁護士。


この元検事の弁護士は、大きなメルセデスに乗り、

メディアに取り上げられるのが大好きで、

お金も大好きな、成功している弁護士の典型的なタイプ。


偶然、TVで大司教殺しの容疑者として拘束された少年を見て、

無償で弁護を買って出る。

容疑者、19歳の少年役はエドワード・ノートン

当時ノートンはすでに20代後半であったが、19歳に見える!


ギアは街の顔役(ギャング)の顧問弁護士のようなこともしており、

しかし、汚い仕事ばかりやってるわけじゃないのだと、

大司教殺しという目立つことこの上ない事件を、

手がけることにした。


無償奉仕とはいえ、地味じゃない事件を手がけたいというのが、

下心見え見えでいかがなものかとも思うが、

ともあれ、仕事でだけは良心を失わないというポリシーのもと、

貧しく身寄りのないノートンの無罪を立証するために、

この事件の法廷に立つことを瞬時に心に決めるのである。


ギア弁護士の前に入り乱れて登場するのは、

亡くなった大司教の敬虔な財団や、

長年重責にある元上司でもある大物検事、

元恋人でもある美人検事、

百戦錬磨の女性判事と女性精神科医

ノートン少年の友人や恋人に、

自ら切り盛りする弁護士事務所の部下たち。

もちろん、優秀なるシカゴ警察も登場する。


さまざまな職種の人たちの「お仕事振り」や

うまい世渡りの仕方が見られて、

村上龍の「十三歳のハローワーク」より、

実践に役立つかもしれない。

お仕事はほんとに大変なのである。


ストーリーは、「真実の行方」がはっきりしてしまうので、

これ以上書かない。



「レッド・ドラゴン」で、レクター博士に認められつつ、

執拗に追い詰められる元FBIの名捜査官を演じたE・ノートンが、

この作品では、感受性の強いデリケートな少年役を、

ものすごいパワーで演じている。

デビュー作品で、いきなりアカデミー賞助演男優賞候補になり、

ゴールデングローブ賞を受賞している。

さもありなんの深い演技である。