1500人が選ぶ「AFI勇気と感動のアメリカ映画ベスト100」を
TVで観ていた。
気が付けば居眠りしていて番組は終っていたのだが、
これは観たいと気になった映画が50位の「シービスケット」。
50位くらいまでは意識がはっきりあった。
さっそく、週末にDVDを借りてきて自宅で鑑賞。
描かれた時代は1930年代。
スパーダーマンのかっこよさとは正反対、
気性が荒くて人とうまくやっていけない、トビー・マグワイア。
実家は没落してしまったが、裕福な幼少時代は広大な邸の庭で、
毎日乗馬をして育った青年。
1920年代後半の株の暴落で、破産寸前に落ちぶれた実業家、
不幸が続く人生だが、家族思いで従業員思いの愛されるべきダンディ。
たった一人で荒野を馬に乗り転々とし、
どんなじゃじゃ馬であろうが野生の馬を捕らえては、
調教をほどこす名人、クリス・クーパー。
競馬界に身を置くものの、誰からも相手にされない変わり者。
凋落人生現在進行形のそんな3人が偶然出会う。
馬主と調教師と騎手の3役揃い踏みである。
そして、将来性があるのかないのかよく分らない、
その上体が小さく、気性が荒くて、
思うように走るようには見えない競走馬シービスケット。
いまいち冴えない3人と一頭が徒党を組むと、ドラマが生まれる。
ここまで書けば、映画のストーリはだいたいお解かりかと思う。
何せ、「勇気と感動のアメリカ映画ベスト」の第50位なのだから。
俳優陣が渋くて深くてみな素晴らしいが、
シービスケットを演じた馬たち(シーンに応じて数頭を使い分けした)は、
さらにしなやかで美しく素晴らしい。
アメリカ映画らしい映画で、史実に実に忠実で、
それがそのまま完璧に再現されている。
衣装も町もクルマも、時代考証に金を惜しまない、
こういう映画はこの国に任せておくしかないのである。
長年生きてきて、映画を見続けてきた勘が冴えて、
ちらっと見たワンシーンで「これ観たい」と感じ、
良い映画と出会ったのであった。