遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

椿三十郎/黒澤明

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   椿三十郎     黒澤明  



森田芳光が「椿三十郎」を撮ったという。


そんな話まったく知らなかったので、

驚きと心配で、「えっ」「へーっ」とうなってしまう。


三十郎を織田祐二が、

三十郎の宿敵、室戸半兵衛を豊川悦司が演じるという。

9人の若侍たちは、オーディションで選ばれたようである。


もし何の制約もなければ、私なら渡辺謙の三十郎役がいいと思うが、

他のキャスティングで死ぬほど悩み、お手上げ状態になるだろう。



黒澤明の「椿三十郎」のオリジナル・シナリオのまま、森田は撮った。

森田は、黒澤のこの映画を見て映画監督になろうと思ったという、

その感性は素晴らしいし、彼の「家族ゲーム」がそれを証明する。



家族ゲーム」に出ていた伊丹十三は、

その後「お葬式」で監督デビューしたが、

森田芳光に感化触発されたことは疑いのないところであろう。

私も、森田の鮮烈な感性ににんまりとした覚えがある。



黒澤明オリジナルの「椿三十郎」について、

私は2年前の記事で、 http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/10589536.html

「三船は、相変わらずこの映画でもどこをどう切ってもかっこよくて、

非の打ちどころのない浪人侍を演じ切っている。」と書いている。


繰り返しになるが、

三船敏郎の、歩く姿・殺陣(たて)・話し方・酒の飲み方・顔の表情、

何から何まで、隅から隅まで素晴らしい演技である。


周りの役者も、ストーリーも、みな素晴らしい。

最後の決闘シーンはあまりにも有名だが、

それだけを取り上げるだけでは、この映画を賞賛できない。

むしろ私は、最後のシーンがなくても減点しない、

それまでに既に、満点に達している映画なのだから。


若い映画好きの方には、

先にぜひ黒澤&三船の「椿三十郎」を観ていただきたい。

最後の決闘のことは意識しないで、

娯楽大作を観るような気軽な感じで楽しまれたい。




黒澤&三船を1度観て、

DVDを買って黒澤オタクになって、

森田の椿三十郎を観なくとも、

それはそれでかまわないと思う。