ミケランジェロやダビンチを知らずに死んでもいいのか、
モーツァルトやベートーベンを知らずに死んでもいいのか、
そんな人いないか。
だったらいつか出遭うだろうから、
高校生は世界史も美術史も、
大学入試に関係ないのなら勉強しなくてもいいか。
教養なんか大人になれば身につくから、
学校の教室で学ばなくてもいいか。
とにかくいい大学に入って一流企業に就職すれば、
いい暮らしが出来て、教養人になれるか。
入試に関係ないから勉強しない、という精神は、
出世や収入に関係ない仕事はしないための良い訓練になる。
私たち大人もそうだったから、それで成功したから、
いまの高校生にも同じ手法を押し付けるのか。
人は家族や親友や最愛の人とどんな語らいをするのだろうか。
好きなタレントの話、他人の悪口- これは話が弾む。
おいしいレストラン・食べ物の話- これは必須。
感動した映画や音楽や本やアートとの出会い- 人として当然のこと。
人として当然のことだけど、収入や出世とは直接関係ない。
楽しい人生は、
いい大学に入って一流企業に就職すれば、
いい暮らしが出来ることと、
それが効率が良いから少し関係あることだと思うけれど、
あまり関係ないとも言える。
無駄な努力と、それと関係ない楽しさが共存するのが、
普通の人の営みだけど、
無駄な努力だと分からないまま人は死んでいくから、
人生は難しいけど、やっぱり楽しい。
H.G.ウェルズの岩波新書「世界史概観」は、
教室で勉強が足りなかった私が、
働き始めた頃に購入した1冊である。