遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ブラック・ダリア/ジェイムズ・エルロイ

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 ブラック・ダリア     ジェイムズ エルロイ


             文春文庫, 吉野 美恵子 (翻訳)




ジェイムズ・エルロイの暗黒のLA四部作の皮切りがこの作品。

私はこの作品でエルロイと出会った。


うちの娘、病癒えたが受験生の娘が、この映画が観たいと言う。

内容はまったく知らずに観たいと言う、

確かに鋭い嗅覚を持っているが、ま、時期が時期だけにお預けを食らわす。



例によって昼休みに「ブラックダリア」話題に上る。


部下のKが、僕も観たいんですよという。

ブライアン・デ・パルマ作品だからきっと良いと思う、

私も観たいと思う。

ところで、デ・パルマは知っているのかと弄る、

案の定、知らない。


ケビン・コスナーの「アンタッチャブル」は観てないのか?

デニーロが髪の毛間引いてすっごいぞというと、

隣に座るMが、そのDVDを貸してやるということで手打ち。



元ライトへビィ級プロボクサーから警官になったLA市警巡査バッキー・ブライチャードと、

へビィ級プロボクサー出身の警官リー・ブランチャード。

例によって、エルロイ、他につける名前がなかったのかと呪いたくなる。


実際にあった猟奇的な殺人事件、娼婦ブラックダリア殺人事件をベースに、

ブランチャードとブライチャードが真相究明に乗り出す。

「世界一有名な死体」は、活字で読んでもグロテスクである。



これまた例によって、善良な人間などひとりも登場しないが、

ブラック・ダリアに魅せられたように「善良」になっていくふたりの警官に、

拍手を贈りたい。



本作に続くLAシリーズは「ビッグ・ノーウェア」、


「ホワイト・ジャズ」である。


先ほどの部下K、

読んでから観た方が良いですか?

そりゃ先に読んだ方が良いと思う、

映画観りゃ、お前さん原作読まないだろう。


教室では先生が教えてくれなかったであろう、

ブラック・ダリアの死体よりグロテスクなものを、

エルロイセンセイはいつもふんだんに取り入れてくれているから。



とても、いいお勉強になる。