先だってニューヨークで、楽器として史上最高の高値で落札されたバイオリンのことを伝える
ニュース↓。
ストラディバリの「ハンマー」は、別名「ハンメル」。
落札額は史上最高だが、史上最高の楽器ということではない、
いいものは競売にかけられることなく、人から人へ、組織から組織へと、
綿々と受け継がれているからである。
ストラディバリの頃には、バイオリンに使用される良い木材がふんだんにあった。
ニスの材料も同様で、また、それを巧く配合した名人たちも数多く居た。
それと、300年の経年変化で最も良い音が出る時期と個体数の少なさが、
今ちょうど重なって、高額な取引価格となっているようだ。
このハンマーは、次に誰が弾くのだろうか。
良い楽器は、弾き続けられることでその音質を維持できるので、
持ち主は高名な演奏家に貸与する。
これが、「高名」な弦楽器の、一般的な保管方法である。
このあいだは、誰かさんが(敢えて名前は書かない)、
コインロッカーに入れておいたフルートを盗まれた。
コインロッカーに楽器を預けるという発想は、
バイオリニストには考えられないことである。
もちろんピアニストもそんなことはしない。
言われてみれば、ストラディバリは確かに良い音であるが、
言われなくても名演奏家の奏でる音は、良いものである。
今から300年後には、今作られている楽器が良い音を出しているような気もする。
我が国からも、良い職人が海を渡ってよく研究し、良い修行を積んでいる。
いいことである。
(画像は、かつて「ハンマー」を貸与されていた竹澤恭子である。)