エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイヴ・スポットVOL.1+1
■パーソネル
エリック・ドルフィー(bcl)
ブッカー・リトル(tp)
マル・ウォルドロン(p)
リチャード・デイヴィス(b)
エディ・ブラックウェル(ds)
1961年7月16日録音
曲目リスト
1.ファイアー・ワルツ
2.ビー・ヴァンプ
3.ザ・プロフェット
4.ビー・ヴァンプ(別テイク)
只今私は8連休中、1月4日の仕事始めには出勤したが、
その前が4連休だったから、飛び石12連休中。
食っちゃ寝、食っちゃ寝、時々外出という毎日で、心身とも休養たっぷり。
年末年始の寒波は、少し緩んだものの寒い日が続いている。
心身とも充実していて、寒い日が続いているときに、
エリック・ドルフィーはぴったりフィットしてくれる。
イライラしていたり、じっとりと暑い夏の夜なんかには、
ちょっとキツイ類の音楽である。
全天候型の音楽なんてあるのかなと思うが(モーツァルトは全天候型か)、
このアルバムを聴くには、極端な言い方をすると、体調と天候を選ぶかもしれない。
毎日が充実していた、頭空っぽ状態の学生時代には、
このような音楽がいつ突っ掛かってきても、平気であったのだが、
さすがに半世紀以上生きてくると、エリック・ドルフィーの音楽は体調を選ぶ。
3曲目の「ザ・プロフェット」のテーマ部分のエリック・ドルフィーとブッカー・リトルの
不協和音を発するユニゾン(表現の仕方変かも)を聴くと、97%の人が「???」状態になろう。
しかも、マル・ウォルドロンのピアノは調律がおかしい。
まるで、ラグタイムを弾くピアノのような僅かな狂いが生じている。
この狂いは、気持ち悪くなる一歩手前の、私の許容範囲内のもので、
スコット・ジョップリンのそれの如く、ファンキーな響きで楽しくなってくる。
ピアノ・ベース・ドラムは、実に気持ちよくハード・バップ感を出してドライブしているが、
エリック・ドルフィー(バスクラリネット)とブッカー・リトル(トランペット)は、
そんなバックにお構いなしに決闘を繰り返しているように聞こえる。
金管&木管系のプレイヤーは、なぜこうも激しいのか。
チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、オーネット・コールマン、アルバート・アイラー、
そして、エリック・ドルフィー。
金管&木管楽器の奏法が、「叫ぶ」行為に最も近いからであろうか。
彼らは何を叫びたいのだろうか。
遠いアフリカの地に思いを馳せた、哀しい怒りの叫びなのかもしれない。
しかし、寒い日の充実した頭脳には、この「叫び」が心地よく響く。
ボリュームをできるだけ上げて聴いていると、
脳内麻薬が湧き出て、ますます気持ちよくなってくる。
10キロメートルをジョグしたような気持ちよさなのである。
36歳で亡くなったエリック・ドルフィーのリーダーアルバムは、他に、
アット・ファイブ・スポットVol.2(1961)
ラスト・デイト(1964)
アウト・トゥー・ランチ(1964)
などが存在する。
みな私の「旧き良き友」たちである。
スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤ベスト100
第14位