岡本太郎の傑作「太陽の塔」(吹田市万博記念公園)が、南禅寺の境内を横切るアーチ型の水路橋が有名な「琵琶湖疏水施設」などとともに重要文化財に指定されるようです。
いま開催中の大阪万博関連ニュースは噴飯もののお粗末なことばかりですが、太陽の塔が重文指定というのは素晴らしいニュースだと思います。
55年前の万博では、リアルな丹下健三の設計になる「大屋根」と「太陽の塔」を目の前にして心躍ったことを思い出します。
日本が誇る二人の偉大な芸術家、岡本太郎と丹下健三の共同制作による「お祭り広場」周辺の格調の高さは、日本が1964年の東京五輪で戦後初めて国際デビューしたことに次いで、国際的信頼を得られた立派なイベントの象徴だったと言えましょう。
2025大阪万博は、膨大な予算はIR(カジノ)建設のためのインフラ整備に使われ、万博はショボくてショボくて、岡本や丹下のような芸術家が関わることなく、小金を懐に入れたい駆け出しの建築家(屋?)が危険で愚かな建造物を「やっつけ仕事で作りました、どうぞ!」といったテーマになってしまいました。
さらにあろうことか、2025万博協会は奈良美智や村上隆の芸術作品を無断使用してプロモーションビデオを作成していたのですから、無知無恥無能な連中の「総合中抜き万博大会」の様相を呈しています。
芸術的なのは中抜きだけの2025大阪万博なのでした。
55年前の「太陽の塔」のような建造物は前代未聞で、いま見ると洒脱で力強くてかっこいいなあと思うのですが、正直、当時は相当アバンギャルドな印象もありました。正面の「顔」がその象徴ですが、他に類を見ない芸術性を備えていると思いますがいかがでしょう(だからこそ、重文指定になるのでしょうが)。
私は近くを通った際に、「太陽の塔」が見えると敬意を表して目礼を忘れないのでした。
なにはともあれ、これで「太陽の塔」は維新に壊されることなく永久保存の道が引かれることになり、何よりも
おめでたいことなのでありました。