鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。 川上 和人 (著) 新潮社
Amazonのカテゴリ「鳥類学」ではベストセラー1位の「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」のご紹介。
本書は、一般書籍の部でも、ベストセラーになっているようだ。
鳥の研究は鳥が住む場所でフィールドワークをするのが当たり前だろうが、鳥類学者は、熱帯雨林のジャングルに深く分け入ったり、陸から遠く離れた島で鳥の研究をするようなのだ。鳥も通わぬ絶海の孤島に、鳥に会いに行くようなのだ。
船に酔わないのなら、冬の1カ月くらい避寒に小笠原に行ってもいい。そこには、本州の里山にいるような私でも知っている鳥たちは住んでおらず、小笠原固有の鳥類が研究者を待っている。
著者は、本書のタイトルに宣言しているように、鳥類学者になろうとしてなった人ではない。東大に入学して、生物学研究会というサークルではじめてバードウォッチングを始めたという。小笠原もどこにあるのか知らなかったという。
表紙のにぎやかさを見れば容易に想像がつくが、本書は学術専門書とは一線を画す面白い読み物。文面から察するに著者はSF映画やアニメやサブカルチャーにも造詣が深そうな団塊ジュニアの典型的な男子で、クスッとかブホッとかニヤッと笑うところが随所に現れる楽しい読書だった。もちろん、鳥にまつわる生態系とか食物連鎖とか環境保全にかかる諸問題の示唆やシリアスな考察についても分かりやすく伝えてくれる。
面白かったり考えさせられる話題が詰まっていて、どこかで誰かにうんちく話として話ができるネタをかなり仕込むことができた。ウフッ。