遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

大アンコールワット展

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プノンペン国立博物館所蔵のクメール王朝(9~15世紀)の至宝が、

大阪にやってきているから来ないかとの旧友からの誘いで、

26日(土)大阪歴史博物館に「大アンコールワット展」を見に行く。


この旧友に会うことを先延ばしにすると、年単位のスパンで会えなくなるため、

引越し準備の真っ最中にもかかわらず、山にも海にも行けない1週間の夏休みを翌週に控え、

36℃の炎天下を出かけていった。


ヒンドゥー教のシバ神やビシュヌ神の石像が、

あの「シバの女王」や、ジョン・マクラフリン・マハビシュヌ・オーケストラを連想させる。


マクラフリンの傾倒していたインドの高僧が名付け親のマハビシュヌ・オーケストラは、

このビシュヌ神に命名のルーツがあったのだと膝を打つ。



砂岩で作られた数々の石像は、明るくて艶かしくて、当時の王朝の栄華を現すかのようであった。


当時の人たちは、

自然を崇(あが)め、神を崇め、王を崇め、暮らしと平和を崇め、

永遠の幸せを祈ったのであろう。


クメール美術は「祈りの芸術」であった。


ポルポト派の戦士は、おおらかな時代に思いを馳せ嫉妬心で石仏の首を刎ねたのかもしれない。


街の喧騒をよそに、私は親しい友と「天空の楽園」のなかにいた。

仏教とヒンドゥー教が混交する幻想世界のなかに居た。



画像は

「ひざまずくプラジューナーパーラミタ」
Kneeling Prajnaparamita
12世紀末~13世紀初頭
147×55cm

プラジューナーパーラミタは最も初期に成立した大乗経典「般若経」を偶像化した密教の女尊である。
この彫像は神王ジャヤヴァルマン7世の戴冠の直後に亡くなった王妃をしのんでその妹が姉王妃の姿を
重ねる形で作成したといわれている。
モデルになった王妃はひざまずき、装身具は何もつけず瞑想し、顔には内なる苦悩を超越した表情をうかべている。