遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

祝イチローMLB殿堂入り! 走・攻・守すべてに完璧な努力型天才選手でした!

イチロー選手(51)が、MLBの殿堂入りを果たしました。

殿堂はMLBで10年以上のプレーキャリアが求められ、引退後5年を経て初めて資格を得ますが、イチローは「有資格1年目で殿堂入り」することは引退した時から確実視されていました。

毎年25~40人の候補者のうち選考を担当する記者たちが最大10人までの名前を書いて投票しますが、得票率75%以上の候補者が殿堂入りとなります。

得票率5%以下の候補者はその回限りで候補から外されます。得票率5~75%の候補者は次年度の審査・選考に持ち越されるが、10回目まで(2014年までは15回目)に75%の得票が得られなければ11回目からは候補から外されます。

10年以上プレーした選手で引退後5年以上を経過した選手は多く存在しますが、イチローは有資格1年目でその名誉を与えられました。野茂英雄松井秀喜も有資格初年度の得票が5%以下だったため、それ以降のノミネートから外されました。

イチローの得票率は394票中393票で99.7%で、満票まで1票足らない(ジーターとともに過去2度目)得票率での殿堂入りとなりました。過去満票だったのは、ヤンキースの守護神ぺレスのみで、イチローに票を入れなかった記者はどこの社の誰なのか、その理由は何なのかと、米スポーチ関係メディアで話題になっています。

27歳でMLBデビューした後、3000本以上安打を放った選手はMLB初ですし、塁に出れば次の塁まで獲得してしまう韋駄天でしたし、守備につけばイチローの前に飛んだ打球で相手チームの走者が次の塁を奪うのは至難の業でした。

打って走って取って投げることすべてに世界一長けた選手でした。しかもケガでチームを離脱することのなかった非の打ちどころのない名選手でした。

イチローNPB出身初の野手で、打撃だけでなく守備にも秀でていましたから、次の打席を待たなくてもライトやセンターでどんな守備を見せてくれるか、大谷とは違った意味の二刀流選手でした。

歴代24位となる3089安打をマークし、新人から10年連続での「200安打、球宴出場、ゴールドグラブ賞受賞」はMLB史上初の快挙でしたし、2004年には歴代最多のシーズン262安打も達成しました。

オリックスの新人時代からずば抜けた選手でしたが、2年間は当時の監督が1軍で使ってくれない不幸に遭遇しましたが、3年目に就任した仰木監督との出会いで1軍で花開いた形になりました。

野茂英雄のあの変則フォームを修正しなかったのも近鉄時代の仰木監督ですし、上に立つ人や指導者の裁量で消えていく選手があることを考えると、イチローが談話で、殿堂入りに際して妻と仰木監督に感謝を述べたことも当然だと思いました。いじめやシゴキによって若いうちに野球を諦めた天才もいたでしょうから、日本で生き抜くのはどの分野でも大変なことであります。

大谷翔平の二刀流を認めてNPBで実績を積ませた栗山監督も、素晴らしい裁量を発揮したといえましょう。当初大谷はNPBドラフトを拒否していて、高卒でいきなりMLBに行って二刀流が実現した可能性はどうだったろうか、MLBに潰されなかっただろうかと、いまになって彼の活躍を見てよく思うことであります。

YouTubeで野球に関するチャンネルが多く存在しますが、イチローの元同僚の選手が異口同音に言うのがイチローの練習量のすごさのことです。

カタカナ名を同じ年に登録したチームの先輩パンチ佐藤は、「寮生活で自分が風呂に入って食事を終えてほろ酔い気分で部屋に戻りさあ寝るかという時刻に、イチローがバットを振ったり筋トレマシンの音などが自室まで届くのです、それが毎晩なんです」と語ります。

天才とは努力できる人のようです。殿堂入りおめでとう!イチロー