遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

女王陛下のカリナン・ダイヤモンドとミキモト・パール

エリザベス女王国葬で、女王の柩の上に置かれていた王笏(おうしゃく:君主が持つ象徴的かつ装飾的な杖)と王冠の巨大なダイヤモンドを見て、思い出したことがあります。

60年近く前のことになりますが、小学生のころに読んだ「アフリカの星」というエピソードを思い出しました。南アフリカで発見された世界一巨大なダイヤモンドの原石のエピソードで、「アフリカの星」「世界一大きいダイヤモンド」「イギリスの王冠」といったようなキーワードがずっと私の頭の中にありました。

その原石は「カリナン」と呼ばれるダイヤモンドを生み出しました。

《カリナン (The Cullinan) は、1905年に南アフリカのカリナン鉱山で発見された史上最大のダイヤモンド原石。3106カラット(621.2g)あり、鉱山の所有者サー・トーマス・カリナンの名前にちなんで命名された。》

サー・トーマス・カリナンと彼の右手に乗った「カリナン」原石

《カリナンは南アフリカトランスヴァール政府に売却され、そこから1907年11月9日、イギリス国王エドワード7世へ66歳の誕生日の贈り物として贈呈された。
エドワード7世はオランダ・アムステルダムにあるアッシャー社にカットを依頼し、9つの大きな石と96個の小さな石が切り出された。9つの石にはそれぞれカリナンIからIXの名が与えられ、すべてイギリス王室か王族個人が所有している。いくつかはロンドン塔で永久展示されている。》

カリナンから切り出された大きい9個のダイヤモンド(研磨前の状態)

研磨後のカリナンⅠ~Ⅸ

「カリナンⅠ」(上の画像上段の中央)は530カラットの世界最大級のダイヤモンドで、Great Star of Africa=「アフリカの偉大なる星」の称号を与えられ、英国国王を象徴する王笏に取り付けられました。

「カリナンII」は(画像上段の左のダイヤ)は、オーバル型で317カラットあり、インペリアル・ステート・クラウン(大英帝国王冠)の正面にセットされています。

王笏(カリナンⅠ)と王冠(カリナンⅡ)

双方とも、英国を象徴する宝物としてロンドン塔で厳重な警備体制で展示されているようで、動く歩道に乗って鑑賞するようです。

1975年にエリザベス女王が来日された際に日本から贈られた真珠(くミキモト・パール?)は、王室御用達である宝石商ガラードによって、ネックレス、イヤリング、ブレスレットに仕立てられたそうです。

その見事なネックレスやイヤリングは、キャサリン妃に受け継がれていて、女王の葬儀の際にはキャサリン妃が身に着けていました。

女王から贈られた真珠のネックレスをつけるキャサリン妃

生前のエリザベス女王は、真珠のネックレスがお気に入りだったようで、3連のネックレスを着けた写真が多く残っていることからもそのことがうかがえます。

その真珠の3連ネックレスは、いつも女王とともにあると言ってもいいようで、父親のジョージ6世からの贈り物だったそうです。