遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ショパンコンクール3次予選進出者が決まりました、日本からは5名!

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また、ショパンコンクールの記事を書きました。

第18回ショパン国際ピアノコンクールは、2次予選を通過し3次予選に進む23名が発表されました。

日本勢では、古海行子、小林愛実進藤実優、反田恭平、角野隼斗の5名が3次予選進出を決めました。通過者の国別上位は、ポーランド6名、次いで日本5名、イタリア3名で、以下、韓国2名、ロシア2名、カナダ2名、中国と米国とスペインがそれぞれ1名ずつの結果となりました。

2次予選までは、アジアからの出場者が目立って多いなと思っていたのですが、3次予選まで来ると中国勢の多くが姿を消し、各地域平均的なバラツキとなりました。

日本勢は、5人が残っていて健闘しています。すでに拙記事で紹介した反田恭平と角野隼斗も3次進出が決まりましたし、残りの3名はすべて女性となりました。

日本の女性3人の2次予選の演奏もYouTubeで観ましたが、東洋人特有の小柄で華奢に見える体つきからは想像できないパワフルな演奏をしていました。もちろんのことですが、繊細な表現力も素晴らしいものでした。(この記事の最後に、5人の演奏と演奏直後のインタビュー動画を貼り付けておきました。)

前回の2015年大会では、小林愛実がファイナルに進みましたが、今回の彼女の2次予選の演奏はすごいものでした。YouTubeには「涙が止まらなくなりました」というコメントがたくさん書かれていて、その評価だけで彼女とショパンは素晴らしいと言えるでしょう。実際、演奏後の会場の拍手もなかなか鳴りやみませんでした。

今回は、中国やロシアやアメリカ勢があまり振るわなかったのですが、なぜなのかはよく分かりません。ショパンコンクールで有名になればその先にレールが敷かれているという時代ではなくなったのか、コロナ禍でスケジュールの変更があって今回は断念したとか、ほかの国際コンクールに出場することを優先したとか、いろいろあるのでしょう。

ちなみに、ピアノのコンクールで有名なのはショパンコンクールのほかには、エリザベート王妃国際音楽コンクール(ベルギー)、チャイコフスキー国際コンクール(ロシア)などが挙げられます。ジュネーヴ国際音楽コンクールやヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(米国)も有名で、日本のピアニストも数多く入賞しています。

ショパンコンクール前回大会の日本人ファイナリストは小林愛実ただ一人でしたが、今回はどうなるでしょう。

3次予選は、10月14日~16日(現地時間)の3日間で、ソナタ第2番・第3番のいずれか(前のラウンドでソナタを弾いた場合は代わりに前奏曲集)、マズルカを含む約50分のリサイタルが課題となっています。演奏者の表現を比較するために課題演奏曲が絞られていて、演奏会としては単調になるのですが、普通のコンサートにはない緊張感や迫力と熱気が伝わってきて楽しいと思います。

 

【2次予選通過者の演奏と演奏後のインタビュー】

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ほぼ2年ぶりに渋野日向子が還ってまいりました/祝・スタンレーレディース優勝

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先週末、嬉しいことが二つ。ひとつ目は、藤井聡太三冠が豊島竜王に挑戦する竜王戦7番勝負の第一局で藤井三冠が劣勢を覆して逆転勝利しまず一勝したこと。

そして嬉しいことのふたつ目が、渋野日向子が久々(1年11カ月ぶり)にツアー優勝したことです。

10日のスタンレーレディーストーナメント最終日は、最終10アンダーで並んだ4人によるプレーオフとなり、プレーオフ2ホール目で渋野が優勝を決め、国内通算5勝目をあげました。

2019年に全英オープンで勝利したときに渋野の存在を知り、それ以降テレビ中継で彼女の追っかけを始めました。2020年に入って勝てなくなった後も、彼女の成績はどうだったかなと毎試合確かめていましたが、ついに1年11カ月ぶりの優勝を手にしました。

コロナの影響があって、渋野の2020年からのアメリカツアー参戦の計画は大幅に変更せざるを得ない状況になってしまいました。その間に身体づくりやスイングの改造に取り組み、コーチの変更など環境も変わって紆余曲折があり試行錯誤が続いたと思います。

また、彼女の当面の目標は、2020東京五輪の出場でしたが、五輪が延期になって手に入れていた出場資格がいったんリセットになって、その後資格を失ってしまったことも彼女としてはショックだったと思います。

そういうことがあって、長らく低迷していた渋野でしたが、直近の3試合はベスト10以内でフィニッシュしていまして、日本女子オープンの難しいコースセッティングでも堅調なプレーをしていて復調してきた兆しを感じていました。

スタンレーレディースでも土曜日まで良い位置につけていましたが、私は日曜夕方にLPGAのホームページで渋野の優勝を知って、あわてて「スカイA」チャンネルの3時間30分もある当日夜の再放送を録画しました。

渋野の優勝は動かないものですので、翌日の月曜日に録画した至福の3時間30分を堪能しました。

最終日に渋野は、18番ホール(パー5のロングホール)でバーディーを取って10アンダー組に追いつき、その後のプレーオフでも18番ホールで2回のバーディーを決めました。つまり、18番ホールで3連続バーディーを決めて優勝トロフィーを手にしました。

 

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今大会は専属のキャディを同伴しないで、開催コースのハウスキャディさんとのラウンドでしたが、テレビ解説の樋口久子によると、渋野はキャディに頼らずほぼ自力でラウンドしているとのことでした。

一時はトップと4ストロークも離され、渋野にとってはなかなかタフな最終日でしたが、技術も胆力も2019年のベストイヤーの渋野に戻ってきたような気もします。

優勝が決まった瞬間に顔を覆って泣き出した渋野を見て、苦しくて悔しくて長かった1年11カ月だったのだなと感動(落涙)してしまいました。

ということで、渋野はまだ若いのだから国内や海外でさまざまな経験を積み重ねていって、最終的には30勝の永久シード選手に名を連ねてほしいと思っています。勝利数は減らないので、1年に1回は優勝して渋野スマイルを見せてほしいと願っています。

おめでとう!アッパレ!

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表彰式 右はプレーオフにも残ったベストアマの高校生佐藤心結選手

 

ショパン! ショパン! ショパン!/第18回ショパンコンクールが開催中です

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ショパンコンクールの会場

第18回ショパン国際ピアノコンクールが、現在ポーランドワルシャワで開催されています。(開期10月2日~10月23日)

YouTubeの「あなたへのおすすめ」で、今大会の第一次予選の動画紹介が上がっていましたので、会場をその動画で覗いてみました。

私はピアノは弾けませんし「ショパン命!」みたいなファンではありませんが、コンクールに挑む若いピアニストや出場ピアニストに自社製を選んでもらいたいピアノ製造会社(スタインウェイヤマハ・カワイ・ファツィオリ)や調律師などの奮闘ドキュメンタリーなど、コンクールを取り巻くコンクールの実録ものが昔からの大好物です。

なので、実際のコンクールの出場者の全演奏をアップしてもらっても会場の雰囲気を楽しむ程度のことなのですが、それにしても遠くワルシャワのコンサートホールの模様をライブ実況やその録画を高画質と高音質の動画で見られることに嬉しくなります。

コロナ感染の影響で1年延期になった今大会は、会場の観客や審査員はマスク姿ですが、ただでさえ5年に1回のコンクールですから、6年待ったワルシャワの観客も楽しみにされていたことでしょう。

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一次予選の出場者(つまり大会出場者)は87人を数え、全員の名前と顔写真を関連サイトで見ましたが、ほぼ「アジア大会」という様相を呈していました。日本と中国と韓国とベトナムと香港などからの参加者に加え、英国や米国やカナダに住むアジア系のピアニストのオンパレードでした。

現地時間の10月7日夜に1次予選が終了し、同日、2次予選に進む45名が発表されたのですが、日本勢では、古海行子、小林愛実、京増修史、沢田蒼梧、進藤実優、反田恭平、角野隼斗、牛田智大の8名が2次予選進出を決めました。

国別では、地元ポーランドが9名、次いで日本8名、中国7名、イタリア5名、米国3名、韓国3名、台湾3名、ロシア3名、カナダ2名、スペイン1名、ラトヴィア1名が2次予選に進みました。

私が偶然見た動画は、まだ一次予選段階でしたが、次のおすすめにあがった動画は二次予選の演奏会で、6人(それぞれ30~40分の演奏)中日本人が3名演奏した10月9日の夜のセッションのものでした。

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私の見た二次予選セッションの出場者リスト

会場にいる観客と同じ立場でYouTubeを通して鑑賞できるのですが、解説者のいない将棋のようなもので出場者の演奏の優劣はほとんど判りませんので、日本人以外の演奏は「熱演付きのBGM動画」を流しているといった感覚です。

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舞台上には3台のピアノが置かれていて、演奏者が指定したピアノに交換されます。舞台右にスタインウェイの2台(479番と300番)と、この日は左側にカワイのピアノが置かれていました。

ちなみに、今回の出場者が選択したピアノメーカーは、スタインウェイ64、ヤマハ9、ファツィオリ8、カワイ6だったようです。

 

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上の動画で最後に登場した、反田恭平(そりたきょうへい)君は、27歳には見えない貫禄と落ち着きぶりで、体格もがっしりしていて今大会の優勝候補の一角というのもうなずける演奏でした。彼の演奏を讃える会場の拍手の感触もいいと感じました。彼は、サッカー少年でもあったようですが、サッカーで手首を骨折したことがトラウマになりサッカーの方をあきらめてピアニストをめざしたそうで、桐朋学園の特待生(奨学金を受けられる)として将来を嘱望されていたピアニストだったようです。

また、26歳の角野隼斗(すみのはやと)君も人気と実力を備えたピアニストで、彼の2次予選の演奏も楽しみました。

本選のコンサート(10/18~20)では、勝ち抜いた出場者がショパンのピアノ協奏曲をオーケストラをバックに演奏しますが、どこの誰が残れるか注目されます。

 

以下、注目の反田恭平と角野隼斗の2次予選演奏の動画

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