ダ・ヴィンチ・コード (上・中・下) ダン・ブラウン (著), 越前 敏弥 (訳)
私は、文庫化になって購入し、女房と職場の部下を経由した後、
もうブームもとうに過ぎ去った今頃に、ようやく読了した。
ルーブル美術館の館長ソニエールが何者かに殺され、
その館長が死に際に自分の血で遺したメッセージがきっかけで、
米国の学者ラングドンと、フランス警察所属の暗号解読班ソフィーが出会う。
ラングドンは当初は捜査協力者として呼ばれるのだが、
その後重要参考人として、フランス警察に追われる身となる。
そして、ソフィーがソニエールの孫娘と判明し、
ソフィーじゃないと解けない暗号もちりばめられており、
ラングドンとソフィーは協力し合って、暗号の鍵を追いかけ、
フランス警察の追跡をのがれてフランスからイギリスへと逃避行をする。
ソニエールの遺したメッセージは暗号や言葉遊びが、キリスト教の聖杯伝説という形をとり、
作者ダン・ブラウンの薀蓄話が、うんざりするほど、
そこここにたくさん登場する教養ミステリである。
私には、その薀蓄深い教養話が少し邪魔でもあった。
確かにはじめて聞く、キリスト誕生をめぐる興味深い話の数々で、
それらを避けては最後の謎解きには到着しないのではあるが、
異教徒であるわれわれにとっては、退屈なお話がちりばめられているのである。
ローマ・カソリックは、この原作の映画上映には、真っ向から反対した。
原作を読まずに映画を見た知人は、よく判らないところがあったと言う。
私は、映画を観てもう一度、視覚で楽しもうと思う、
もっともっと楽しい本はたくさんあるのだが、
何でこの本が、日本だけで1000万部以上も売れるのか、
実に不可解な不思議な国である。
そんな日本人観光客の如しである(そんなやつおらんか)。