遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

気持ちの良い陶酔状態/脳内麻薬

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 あぶない話ではないので、あらかじめことわっておく。

 副作用がなく依存症にもならなくて、合法的で、かつ無料で手に入る麻薬が、脳内麻薬である。
 かつて私も手に入れていた時期がある。

 どのようにして手に入れるか、それは規則正しいトレーニングを積めば手に入るのである。

 野球の先発ピッチャーを例にとると、初回の立ち上がり時がベストの状態で、回が進むほどに体力や握力が衰えていく、と考えるのが普通であろう。しかし、そうではないのである。

 彼らは、試合中のどこかで脳内麻薬が分泌されるのである。個人差があるが、いったん脳内麻薬が分泌されると、とにかく疲れないのである。力がみなぎってくるのである。楽しくなってくるのである。少々の故障による痛みなんか感じなくなるのである。

 そういう状態がしばらく続き、いつの間にか長い間マウンドに立っているのである。だから、ピッチャーを攻略しやすいのは、1・2回の立ち上がり時と、麻薬が切れるであろう、回も押し詰まった後半なのである。(これは、もちろん一般論で、絶対的な力の差はどうしようもないのだが。)

 この、「脳内麻薬の」代表格を「βエンドルフィン」という。
 モルヒネのような作用がある、体内で作り出せる麻薬物質で、これが分泌された状態が
 「ランニング・ハイ」と呼ばれる、気持ち良い現象なのである。

 私は、遊んでいた20代とは違い、30代には運動をしていた。テニスやゴルフや釣りと、冬場のランニング大会出場である。
 そして30代の最後の2年に、2回フルマラソンに出て、2度とも完走した。
 4時間ほど時間はかかったけど、私の人生の金メダルは、この2回のフルマラソン完走だけ!(このことはまた章を改める。)
 
 この完走は、脳内麻薬のおかげだと思っている。

 数ヵ月後にレースを控え、せっせとジョギング練習をしていて、30分ほど
 時間経過すると「キターッ」状態で、気持ちよくなってくるのである。
 どこまでもいつまでも走っていけると感じるトランス状態に入る。

 
 そこで、もう30分ほど走り続けて、エンドルフィンが切れる前に練習を終える。そして、気持ちイイ状態のまま、クールダウン時にストレッチなどで、体の手入れさえ怠らなければ、怪我や故障に悩まされることも少なく、次の走りが楽しめるわけである。
 
 ただし、これは、記録をあまり意識しない、市民ランナーだけの特権で、シリアスランナーはこういうわけにはいかないであろう。

 一般市民は、スポーツを楽しんでやる。がんばらない。それでもゴールはやって来るのだから。