遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

受胎告知/レオナルド・ダ・ビンチ

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 「受胎告知」(1474年頃) フィレンツェ:ウフィティ美術館

 受胎告知の数々の名画の中で、私の最もお気に入りは、レオナルド・ダ・ビンチのそれである。

 ダ・ビンチ弱冠二十歳の頃の作品である。

 受胎告知の神聖なるやりとりは、この記事の最後の旧約聖書抜粋を参照あれ。

 この絵で、何よりもいいのが、画面左の天使ガブリエルである。

 ダビンチは、ガブリエルを真横を向いた形に描いている。そしてそのポーズが美しい。
左手をひざに置き、右手を掲げ、右ひざを地に付けた安定した美しいポーズは、素晴らしいと思う。

 その横顔も、男でも女でもない中性的な美しさが漂っている。

 また、マリアとの間隔をあけて距離感をとり、描かれて掲げられた場所の制約だったろうが、画面全体を安定感のある横長にした。
 お得意の遠景も、木々を邪魔にならないように配置し、奥行きをたっぷりとったものに仕上げている。

 全ての要素が完璧に配置され、ひとつひとつの描写力は申し分なし。非の打ちどころがない。

 私のベスト・ダビンチはこれである。

 でも、本物は観たことがない。ああ、フィレンツェに行きたい。

 役所工事@道玄坂より「絵葉書美術館-1(追加版)受胎告知」。このサイトも素晴らしいので、
紹介しておく。ダビンチのガブリエルと他の画家のそれを、比較されたい。
  http://fujiso4.hp.infoseek.co.jp/ar01hp/ar01.html


『六ヶ月目に、御使いガブリエルが、神から使わされて、ナザレというガラリヤの町の一処女のもとにきた。この処女はダビデ家の出であるヨセフという人のいいなづけになっていて、名をマリヤといった。御使いがマリヤのところにきて言った、「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」。この言葉にマリヤはひどく胸騒ぎがして、このあいさつはなんの事であろうかと、思いめぐらしていた。すると御使いが言った、「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。そして、主なる神は彼に父ダビデの王座をお与えになり、彼はとこしえヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くことでしょう」。』
(『ルカによる福音書 26-33』)