遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「はたらく言葉たち」を中止した阪急電車


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阪急電車は、大阪キタの梅田駅を起点として、宝塚・京都・神戸を往復する私鉄です。

阪急電車のイメージは、コテコテ大阪のイメージとは少し違った、洗練されたスマートな電鉄会社です。車内広告も、ヅカガールの写真入りの宝塚大劇の公演ポスターなど、阪急・阪神グループ関連企業の広告が中心で、下品な週刊誌やの吊り広告などは皆無です。

そんな阪急電車が、パラドックスという会社とコラボで「はたらく言葉」を掲げた電車の運行を6月1日から30日まで運行する予定でした。

そのことを告げる公式ツイッター

阪急電鉄【公式】 @hankyu_ex
明治から数えて5つ目の元号を走り始めた令和の節目に、働く全ての人を応援する企画列車「 #ハタコトレイン 」を運行します。
様々な業界・世代の働く人々の思いを紡いだ言葉集「はたらく言葉たち」とコラボし、仕事に誇りと志を見出す人々の言葉たちで電車内をジャックします!

その車内に貼られた「はたらく言葉」がSNSで紹介される、じわじわと炎上して、この企画は11日以降中止になったそうです。

その言葉の一例が以下のようなもの。

「毎月50万円もらって毎日生きがいのない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか(研究機関 研究者/80代)」

「私たちの目的は、お金を集めることじゃない。地球上で、いちばんたくさんのありがとうを集めることだ。(外食チェーン経営者/40代)」

他にも何だか安っぽい格言のようなポスターや何が言いたいのかよくわからない文言がたくさんあって、要するに「もっと会社のために働けよ!」というのが「はたらく言葉」の最も伝えたいメッセージのようです。

この車両に乗ってこれを見たら、げんなりする乗客は少なからずいるだろうなという内容です。

ブロードウェイのミュージカルだって、新聞の批評が悪ければ公演期間は縮小されますが、阪急電鉄も当初の計画の3分の1の期間でこの電車を走らせることを中止しました。それはそれで賢明な措置で、さすがにスマートな対応だと思います。

しかし、それにしてもこういう炎上が予知できない担当部署は勉強不足ですね、私を臨時アドバイザーに据えてもいいんじゃないでしょうか。勝ち組の目線でしか世の中を見ることができないのでしょう。阪急の担当者諸君、もう蓄えは2000万円を超えましたか、ああそうですか。

電鉄側から見れば1円にもならないけど、日本国憲法の条文を貼り付けて1か月走るとか、ややこしい年金や税金のことを分かりやすくやさしく説いたポスターなどを貼ってくれる方が、乗客としてはありがたいかもしれない。