フランスのミステリー「ブルックリンの少女」のご紹介。著者は1974年生まれの今年45歳のギヨーム・ミュッソ。
彼女は南仏から一人でパリに帰ってしまったのだが、ラファエロの前から忽然と姿を消してしまう。
アンナは事件に巻き込まれて失踪したと確信した作家は、有能で勇猛果敢な元刑事マルクのサポートを受けて、二人で婚約者の捜索を始める。
麗しき研修医のアンナは、アフリカ系と白人の混血(メティス)で、若くて美しい女性の過去に横たわる闇は、最後まで本書を読んだ者にしかわからないのだが、想像を絶するものであった。
作品も同じようにアメリカ的で、ハリウッド映画の原作にすれば面白いと誰もが思うスリリングな展開が次々に立ちあがってくる。
主人公の作家と元刑事は、パリとニューヨークを縦横無尽に駆け回って事件を収束させるのだが、紙のページを繰って読み進めていても、映画のようにとても楽しめた。
ネタばれにならないようにレビューを書くと、あとで読み返したときにストーリーがさっぱり思い出せなくて困る。本作は細かいトリックやエピソードや個性的な人物を詰め込みすぎて絡ませ過ぎたところが、すこぶる面白い。にも拘わらずそれがちょっとだけ粗雑でうるさい表情も見せている。