遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

旧日本兵に呪われる国会議事堂/会田誠「まつり」

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兵庫県立美術館神戸市中央区)で開催中の企画展「Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー」(3月17日まで)展示されているのが、会田誠の「まつり」という作品(上の画像)。

会田のこの作品は、撮影が許可されているそうである。

青森のねぶた祭の山車の製作技法を用いて、和紙でオブジェを制作した。タイトルの「まつり」は、「ねぶた祭り」と「政(まつりごと)」を暗示する。

その和紙で作られた餓死寸前の骸骨のような巨大な日本兵が、墓石のようにデフォルメされた国会議事堂に天上から指さしながら詰め寄っている。

太平洋戦争で亡くなった兵士の大半の死亡原因は、戦闘による戦死ではなく食糧を絶たれたことによる餓死だった。

戦争に導いた国会、食糧の供給や搬送計画も立てられなかった国会、早い時期に事実上の敗戦がわかっていたにもかかわらず敗戦処理をしなかった国会に、死霊のような生きた兵士が墓石のような国会議事堂に恨みの指差し呼称をしている。

「悪いのは、すべてお前らだ!末代までも恨んでやる」

当時国会にいてのちにA級戦犯になった男の孫が、いま国会議事堂内で内閣総理大臣をしている。

会田は「旧日本兵」を国会議事堂に降臨させたが、それが「派遣労働者」「外国人労働者」「奨学生」「シングルマザー」「高プロ労働者」「沖縄県民」「LGBT」などなど「生産性」から逸脱しているマイノリティであってもぴったりくる。

いつの世も、国会議事堂は呪われていて、祟られているのである。 合掌