遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

筒香と川淵からの高野連への宿題

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川淵三郎が、高野連に「頭の中は明治時代のままか?」と激怒している。

川淵三郎氏が高野連に激怒「頭の中身は明治時代」

これは、高知商業の野球部が、有料で開催したダンス同好会の発表会にユニフォーム姿で出演したことに端を発する。

野球部の甲子園大会出場時に、チアリーディングチームを結成してくれたお礼の意味を込めてダンス同好会の発表会の舞台に上がったのだが、そのことを知った高野連高知商業の部長を処分対象にすることを考えているという。

ダンス発表会に野球部がいわば「友情出演」して、催しを盛り上げようとしただけなのに、有料(入場料500円)の催し物に出演することは「商業的」だとして高野連は「学生野球憲章」違反だとしているのだ。

川淵三郎が「高野連は明治時代の頭か?」と怒るのだが、私もまったく同感である。野球部を卒業した3年生だけが甲子園のお返しに友情出演しただけなのだから、商業的とはほど遠いよ。ダンス同好会にも気の毒なことである。

むしろ高野連は、横浜DeNa筒香がわざわざ自分で記者会見を設定して訴えた重大な指摘に対して何かアクションを起こすべきだろう。アマチュアの野球指導者の「商用的」振舞いは、看過できないのではないだろうか。

アマ指導者に警鐘の筒香 甲子園を主催の新聞社も痛烈批判

《以前から言及してきた、勝利至上主義によるアマチュア野球指導者の選手酷使や暴言・暴力について改めて問題提起。この日も「大人が守らないと子供の将来は潰れる」と警鐘を鳴らし、少年野球や高校野球でのリーグ戦導入や球数制限ルールの適用について訴えた。》

私も以前これとほぼ同じことをこのブログで記事にしたことがあるし、朝日新聞高校野球100年アンケートにも書いたことがある。

まことに失礼ながら、筒香から受ける印象はマッチョでイケイケタイプの人間だと思っていたので、彼が子どもたちのことを温かいまなざしで見ていて、私と同じことを感じていることに少し驚いた。実に立派な記者会見だった。あっぱれ!

筒香は、かつて参加したドミニカでのウィンターリーグで、現地の子どもたちの楽しそうな練習風景に接して、日本の野球指導者の求めるところとの格差を感じたようなのだ。

日本の指導者が「罵声」や「暴力」を行使する場面を少なからず目にしてきたことも、彼の主張のバックにあることなのだという。

勝利至上主義で指導者のご都合主義的な、まるで「軍隊式」や「タコ部屋風」の野球ワールドを作ってはいけないのだ。

野球指導者たちは、高校球児を初めとする子どもたちを「商品」として扱っていないだろうか。

高野連などは、このことをしっかり検証すべきだろう。学校や指導者や高校野球を主催する新聞社などは、自分たちの利益のために子どもたちを商業利用していないだろうか?私はしていると思う、それこそ「商業的」であり学生野球憲章違反だと思う。

大人の世界的な野球大会であるWBCでさえ、ピッチャーの投球数の制限や投球間隔(休息日の設定)の制限が厳しく決められている。大リーグの投手でも、暗黙の投球数のルールが守られていることを、筒香の意見とともに参考にすべきだろう。

また、このたび元ロッテの小宮山悟早稲田大学の野球部監督に就任したように、高校野球もプロとアマチュアの垣根を早く取り払って、近代的で合理的で安全で健全な指導者(例えば桑田真澄のような指導者)を現場に入れていくべきだろう。

筒香には、3日間ほどハンストしてでも、子どもたちのために訴えをアピールしてほしいくらいだ。日本社会全体が、軍隊式タコ部屋のようになっている気もするのだ。