遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

東大寺お水取り「花ごしらえ」

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東大寺では、修二会(お水取り)の準備が始まったようで、堂内に飾るツバキの花をつくる「花ごしらえ」が行われていると、朝日新聞が写真と記事で伝えています。

以前、NHKの染色を特集した番組を見て知ったのですが、この椿の花弁の赤い色は、和紙を紅花(ベニバナ)で染めた逸品です。

発色の良い深紅に染め上げるために触媒のような役目をするのが、月ヶ瀬の梅の実を燻蒸した烏梅(ウバイ)の水溶液です。黄色は、梔子(クチナシ)の実で染めています。

使われている和紙は、京都の綾部の黒谷和紙。良質の楮(コウゾ)が原財料です。

造花のツバキを、楮と紅花と烏梅と梔子でこしらえるわけで、宗教行事に相応しく化学物質を一切使いません。これらの原材料は、京都の東山にある吉岡という染色工房が近畿地方の特定生産者農家に依頼して上質なものを調達しています。

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吉岡染色工房は、毎年、お水取りのために上のように一枚一枚重ね塗りを繰り返して丁寧に染め上げた和紙を、東大寺に納めます。

この和紙を使って、東大寺のお坊さんたちが、「花ごしらえ」でツバキの花に仕上げます。最終的には、花咲く椿の木に仕立て上げ、お水取りの本堂に据え置かれます。

東大寺修二会(お水取り)は、1250年以上続く伝統行事ですが、それを支える名もなき市井の人たちの伝統ある歴史でもあります。