土偶(どぐう)と埴輪(はにわ)の違い。
埴輪は、3世紀後半から6世紀後半にかけて造られ、前方後円墳などに並べられた素焼きの置物。
一方、土偶は紀元前数千年ころの縄文時代に造られた土製品。新石器時代の農耕社会において、乳房や臀部を誇張した女性像が多いことから、通常は、農作物の豊饒を祈る地母神崇拝のための人形と解釈されることが多い。
この3体すべてが女性がモデルで、とくに「縄文のビーナス」は、女性の体型をふくよかにデフォルメした形状に仕立て上げている。また、右2体の「女神」像は、宇宙人のようなフォルムをしていて、実に神秘的である。
いまから5000年ほど前に、どのような人間がこれを作ったのだろうかと、不思議な思いにとらわれる。今回の国宝展で実物をはじめて見て、5000年の年月を経ても人類の本質はさほど変わっていないのではないかという思いにもとらわれた。
寺院の優美な仏像群のモデルは男であるが、女性をモデルのこの土偶に惹かれるのは私が男だからだろうが、たとえば、これらの像のレプリカを3Dプリンタでつくって、「これはモダンアートだ」と言っても、あるいは「17世紀のアフリカンアートだ」と言っても信用されるほど、普遍的なフォルムである。時空を超越した造形美だと言える。