遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

【国宝展】インスタ映えする頼朝像1万円札

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京都国立博物館で開催中の国宝展。2度目の訪問。

平日の金曜日の15時頃待ち時間0分で入館。混雑度合いは5段階で3。展示終了が近い国宝「金印」は40分の行列だったので涙の棄権。

今回ご紹介は、だれもが知る名作「源頼朝像」。

作品名の前に「伝」が付き、「源頼朝の像とされる」くらいのニュアンスである。

本作は、京都神護寺が所蔵する三幅の肖像画のひとつで、「絹本著色伝源頼朝像、絹本著色伝平重盛像、絹本著色伝藤原光能像」の名称で1951年(昭和26年)に国宝に指定された。

国宝展には三幅まとめて展示されていて、肖像の大きさはほぼ等身大で、とても存在感がある。しかし何といっても頼朝像がお馴染みだしカッコいい。平重盛藤原光能の像はよく似た表現の作品なのだが、モデルの容姿の差で絵の品格が違ってくる。

頼朝の人物像は、実弟義経を殺して政権を樹立した血も涙もない権力者のイメージなのだが、この神護寺の頼朝像は、血統の良さというかセレブ感が漂う。

端正な顔は実に細かい筆が入っていて立体的なのに対して、首から下は折り紙で追ったような直線的で平板的なフォルムで表現されている。それが、相容れない表現法ではなく、肖像画としてのバランスを絶妙にする働きを演出している。作者は、12世紀末の似絵の名手藤原隆信の作とされているが、本作をめぐってはモデルや作成時期など諸説ある。

とまれ、頼朝の業績が認められるなら、いま1万円札の肖像はこの頼朝像でもいいかもしれない。それほど出来の良い肖像画である。

この1万円札なら、「判官」びいきの人たちの金離れがよくなり経済効果抜群だったりして…。また、インバウンドの外国人たちがお金として使わないで、フォトジェニックな侍だとしてこの1万円札を沢山お土産に持ち帰ったりして…(経済効果があるのかないのか…笑)。