遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

過去の原子力事故の重度比較/原子力事象評価尺度

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東名でのバス事故。中央分離帯を飛び越えて対向車が空中に飛び出してきた大事故だったにもかかわらず、亡くなったのは対向車の運転手だけという奇跡。
バスの運転士の冷静な制動行為があったことに加えて、バス自体が安全性の高い新しい車体が奇跡を生んだようだ。

あのバスは、フロントフレームに強度の高い部材を使用して安全性を高めた「いすゞガーラ」という車種だそうで、奇跡が起きたのは単なる偶然ではなかったようだ。

一方、6日に 日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」で作業員が被ばくした事故は、「まだそんなことが?」と思わずにはいられない大事故だった。

30年続いた平成の時代が来年で終わることが決まったというのに、いったいこの国は何をしているのだろう。

1999年に、2名の死者、1名の負傷者、667名の被爆者を出した、東海村JCO臨界事故から何も進歩してないのではないだろうか。あの事故は、裏マニュアルにのっとった作業員が「バケツ」によるハンドリングでウラン加工物を扱っていた。当時その「バケツ」ニュースを聞いてあ然としたが、今回のプルトニウムの容器は、26年間もノーチェックだったようで、その理由は「マニュアルがなかった」からだという。

裏マニュアルがだめなら、マニュアルさえ作らないという安全基準に愕然とする。そんなことで、各地の原発の再稼働を認めてよいのだろうか。

「もし北朝鮮からミサイルが飛んできたら」を想定した、まるで戦時中の竹槍訓練のような避難訓練が各地で行われてるそうだが、原発を止める気がないのなら事故が起きた場合の避難訓練くらいきちんとしろと言いたい。訓練を通して「原発はやばい」ということが住民に浸透することは言うまでもないが、それをクリアしてこそのリスク管理なのだ。

過去に起きた原子力関連事故の重度を測る物差しに「国際原子力事象評価尺度」がある。先に述べた1999年の東海村JCO臨界事故は、この評価尺でレベル4に相当する。今回の大洗での事故はどんなレベルかはまだわからないが、この尺度で表された過去の事故はそう多くない。Wikipediaによると下の通り。

日本の事故の多さはどうだろう。原発の多さに比例するのと同時に、リスク管理のずさんさにも比例する。電力会社が安全に金を掛けなさすぎる結果でもあることを、再認識すべきであろう。

◇過去の主な「国際原子力事象評価尺度」(原子力事故・故障の評価の尺度)◇

レベル7「深刻な事故」
福島第一原子力発電所事故(暫定、2011年、日本)

レベル6「大事故」
ウラル核惨事(キシュテム事故)(1957年、ソ連

レベル5「事業所外へリスクを伴う事故」
チョーク・リバー研究所原子炉爆発事故(1952年、カナダ)
ウィンズケール原子炉火災事故(1957年、英国)
ゴイアニア被曝事故(1987年、ブラジル)

レベル4「事業所外への大きなリスクを伴わない事故」
フォールズSL-1炉爆発事故(1961年、米国)
東海村JCO臨界事故(1999年、日本)
フルーリュス放射性物質研究所ガス漏れ事故(2008年、ベルギー)等

レベル3「重大な異常事象」 (以下日本の事故のみ記述)
動燃東海事業所火災爆発事故(1997年)
東北地方太平洋沖地震によって福島第二原子力発電所で起こったトラブル(2011年)

レベル2「異常事象」
関西電力美浜発電所2号機・蒸気発生器伝熱管損傷(1991年)

レベル1「逸脱」
もんじゅ」ナトリウム漏洩(1995年)
関西電力美浜発電所3号機・2次冷却水配管蒸気噴出(2004年)

レベル0+尺度以下
 関西電力美浜発電所3号機2次系配管破損事故(2004年)
 
レベル0-尺度以下