遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ゴードン、ホッチキス、SOS、監視社会

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電車の中で「特捜部Q 知りすぎたマルコ」というミステリーを読んでいた。
定例ランチ会の待ち合わせまでかなりの余裕時間を作って、逆向きの電車に乗って京都駅まで行って、Uターンして大阪駅に向かいながら、この大きなミステリーを読み進めた。

そうしたら、いくつも印象的なフレーズと遭遇したのでご紹介。

《その若者は警察本部が最近採用した新人で、親はよほど酒好きだったのか、息子にゴードンと名付けた。》

主人公の警部の勤め先の新人の紹介箇所。
この個所に差し掛かって吹き出しそうになり、その後もおかしさが尾を引き困ってしまった、はまってしまった。(ゴードンは有名なジンの銘柄。)


《そして、耳たぶには標準サイズのホッチキスに入っている針の数より多いピアスがずらりと並んでいる。》

主人公の女性秘書の容貌について表現している箇所。
標準サイズのホッチキスの1セットの針の数は50本。このことを知っていると便利なことがあって、大量の資料をホッチキス止めする際に、針を新しいものにセットすれば、50部ずつ数を数えずに作成できる。(針を2セットにすれば100部単位で作成できる。)


《「トトト、ツーツーツー、トトト」》

これはモールス信号の「SOS」を表す。下半身不随になって寝たきりの元相棒が奇跡的に指を動かすことが可能になり、病床で主人公にこのモールス信号を打った場面。主人公に、すごいじゃないか、モールス信号を知っているのか?と問われて、

《「モールス信号は、それしか知らないんだ」》

私もこれしか知らない。小さいころ覚えたのだが、簡単なので私にでも覚えられた。そして、簡単だからこそ緊急信号が「SOS」になったのだという少年だった私の推理は、的を射ていた。幸いにもいまだにこの信号を使ったことはない。


官僚主義と監視国家が手を結んだらなんでもありってことだ。》

これはデンマークの小説なのだが、日本ではその「何でもあり」な国になる前夜(大イベントの直前)を迎えている。

いやはや、楽しい読書だったのに、この1行に至って、私の思い出し笑いは止まってしまった。