春日大社の森の小径をゆるやかに南下して来ると、新
薬師寺が建つ閑静な文教地域に到ります。
「新」といっても新
薬師寺の創建は
天平19年(747年)。(ちなみに、西ノ京の
薬師寺は創建680年ですが、東塔以外の金堂や西塔などは昭和に建立されています。)
新
薬師寺は、
聖武天皇の病気平癒を祈って、
光明皇后によって建立されました。
創建当時は4町(約440メートル)四方の広大な境内だったそうですが、いまは数十メートル四方の小さな古刹です。
病気を治す仏様といえば
薬師如来で、新
薬師寺は左手に薬壺を持つ薬師座像(国宝)がご本尊です。
本堂(上記画像:国宝)では、本尊を守るように、
十二神将像(国宝)がぐるりと取り囲んで立っています。十二体はそれぞれ異なるポーズで、十二支の方向を守っているようです。
この決して大きくない本堂は、
天平の時間がゆったり流れていて、時間と空間の奥行きや広がりを感じます。
ミケランジェロから700年もさかのぼってさえ、この仏像芸術が奈良にあったということに誇りを感じます。
境内は、2月ということもあるのでしょうが、
東大寺の大仏殿や
春日大社界隈とは対極の、ひっそり閑とした大人の時間が持てるような気がします。
冬がよかったのかもしれません。