遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「2分の1成人式」の異様

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1月から2月にかけて、10歳になったお祝いに、小学校で「2分の1成人式」が行われているという。ツイッターでそのことを知った私は、はじめ何のことかわからなかったのだが、ずいぶん前から行われている学校を挙げての行事だという。

4年生が体育館や教室で保護者とともに、生徒がひとりずつ親に書いた手紙を読み上げたり、スピーチをしたり、合唱したり、というのがそのおおよその式辞だそうだ。

10歳まで育ててくれたお礼と、将来の夢をかなえる決意を込めた手紙やスピーチで、子どもが親に感謝するのだそうである。親も子どもに、激励の手紙を渡すのだそうである。涙涙の成人式なのだという。

以下、教育社会学者・内田良と憲法学者・木村草太がこの問題について問題提起をしている。

■小学校で大流行「2分の1成人式」の"異様" 「美談」で済ませていいのか?

家庭の裏事情が公になるなど、問題点が多すぎるという二人の指摘はその通りだと思う。教育が家庭に立ち入ってくるのも、ある程度の制限があろうかというものだ。

そもそも、親に愛されている子どもばかりではないはずだ。また、親に感謝している子どもばかりでもないはずだ。

家庭内で個人的に「元服儀式」をしたり手紙を交換するのならまだしも、学校行事で強制的に実施するというのが異様である。大阪府では3分の2の学校でこの行事が実施されているようで、親の希望で参加させないというのもありなのだろうか。私なら参加しないし、子どもも参加させない。それが、親としての教育だと思っている。

これは、安倍内閣が今国会で提出しようとしている「家庭教育支援法案」の伏線なのか。「国家に従順な子を育てよ、それが家庭と親の役目だ」というのである。こんな馬鹿政府のもとでは、子どもたちはさまざまな意味で矯正され、20歳になっても「中身は10歳のままの2分の1の成人式」となってしまうだろう。

まあ私のような親は、「家庭教育支援法」でパクられ、学校行事に家族ぐるみで反対するなど、国家転覆の恐れがあると「共謀罪」でも罰せられそうである。